自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
広島県の総人口280万人の中にいるはずの、イシス編集学校にいま出会いたい誰か。いま出会うべき誰かのために。
広島で初開催するエディットツアー「編集術で再発見! たくさんの広島」の情報を、届けるべき人にきちんと届けたい。43[守]で晴れて広島在住師範代となった小桝裕己(12[離]、31[花])のミッションが始まった。
編集学校の校長は松岡正剛。松岡正剛といえば千夜千冊だ。そこからシソーラスを広げて、本好きの広島県人というターゲットが導き出された。フライヤーを片手に書店に向かう。
「イシス編集学校の広島支部です」。咄嗟に出たのは、存在しない支部の名であった。仕事帰りのスーツ姿と肩書きの「らしさ」の勝利か。フライヤー30部は丸善の書店員の手に渡った。

だが、まだ足りない。やってくる偶然をもっともっと迎えにいきたい。ふと小桝の注意のカーソルが向かった先は、交差点に面した社交ダンス衣装店。小桝の実家である。信号待ちの車内から見える高さに合わせ、ショーウィンドウにフライヤーを貼った。残念ながら、ドライバーたちは一瞥もくれず走り去っていく。
ところが、帰宅後、店主の母から「私も行っていい?」。その瞬間、小桝は参観日前の男子中学生の顔になって頬をポッを赤らめた。だが気分を一新して即答する。「もちろん」。
飛び込んできた者は、親だろうが何だろうが飲み込むべきだ。広島在住師範代のミッションはまだまだ続く。広島支部が本当に立ち上がる日まで。
浦澤美穂
編集的先達:増田こうすけ。メガネの奥の美少女。イシスの萌えっ娘ミポリン。マンガ、IT、マラソンが趣味。イシス婚で嫁いだ広島で、目下中国地方イシスネットワークをぷるるん計画中。
8月某日、浦澤美穂は悩んでいた。 イシス子どもフィールド発行のZINE「あそぼん」に寄せる原稿のテーマを過去に作ろうとして頓挫したカードゲーム「お料理ポーカー」に決めたものの、どう展開して、オチをつけるか決 […]
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コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
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泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。