マンガにおける短詩系文学といえば四コママンガということになるだろう。四コママンガに革命をもたらした最重要人物の一人である相原コージは、そのものズバリ『漫歌』をものした。
デニムの着物のステッチとマーチンのステッチの糸の色がリンクしてる。って見つけて目付けもの(めっけもの)
集合は本番開始の90分前。
洒落羽織に黒革の手提げ姿で現れた中村さん、いかにも若旦那な風情で終始ニコニコ。(ほどよい抜け感がさすがの着こなし)
一方、ヨージの黒づくめで登場した梅澤さんは「どのタイミングで着物着たらいいでしょう」とウンヌンカンヌン。
結局、最初から三人着物姿で行きましょうということになり、10分ぐらいで着替えてこられました。
「早い。そして決まってる」
うーん。やっぱり男は着替えが早い。
どんな風に着ているかを説明中の梅澤さん(右)
そうなんです。そうだったんです。昔からずっと男は何回も着替えてきたんです。家にいるとき、日常に仕事に行くとき、非常時に戦場に行くとき。
平安時代、宮廷では男女ともに働いていたのですが、その形態は大きく違っていました。男は「通い」女は「住み込み」。そしてこれが男と女の装束の姿を分かつ大きな要因となったのです。男は場(家か職場か)に合わせて「全取っ替え」で服を変えてきたのに対して、女は衣を「着足したり脱いだり」することでONとOFFを切り分けてきました。
そのためでしょうか、毎日出かける男と違って、家を中心に生活してきた女の衣服には用事(TPO)に合わせて、とにかく着脱しやすいアイテムが揃っていました。例えば、お客さんが来られた時はエプロンをとって出迎えるとか、カーディガンを羽織るとか。だから前髪やピアスとか小さな部分(アイテム)の変化で気持ちも気構えも大きく変わるんです。
そっか、そもそも男は「やつし」も「もどき」もやり易い。だっていつも全取っ替え。だから男は女のイヤリングに気がつかないのか。。。
でも多くの女が外で働くようになって、女も毎日、家と外とで服を着替えるようになってすっかりエプロンはしなくなりました。
きっと今はファッションも明治維新以来の大きな過渡期。女も全取っ替え的な「やつし」や「もどき」がいよいよできる(やりやすい)世の中になったのかもしれません。ということは着物にもきっと再び行けちゃう。
そしてもう一つ。平安時代の装束は唐風の衣服をもとにしていましたので、男は沓(くつ)を履いていたんですね。昨年の大河ドラマの『光る君へ』でも、道長も隆家も黒い沓を履いていました。
それでトーク会での二人の足元は、中村さんは草履に黒足袋で、梅澤さんはDr.Martens(ドクターマーチン)。日本人の足元ってこの頃どんどん動いていますが、もともと沓と草履がデュアルにあったのが日本なのです。
だから幕末に開国してすぐに坂本龍馬がブーツを履いていたのも、ハイカラさんが袴にブーツを履いていたのも、そんなに突拍子もないことではなかったと思うのです。突拍子はないけどとても新しい感じ。逆に草履も今進化し続けていて、私も黒足袋を探してみようかな。
こうした歴史が日本人のベースにあるからなのでしょうか、この頃は街でヒールを履いている人がすっかりいなくなってしまいました。ほとんどの人が歩きやすいスニーカータイプの靴。フェミンなワンピースにもスポーツタイプのスニーカー。こうなると外反母趾になりながらも履いていたハイヒールって、いったい誰のために何のために履いていたんだろうと思うのです。
先日テレビのインタビューで欧米からきた外国人が「日本はファッションが自由だから」と言っていました。彼らは神社の階段をピカチューの着ぐるみを着て歩くために来日したそうなのです。
そうなんです。
これからもっと、男も女も洋服と着物が一緒に並んでいるワードローブになったり、両者がミックスされるスタイルもさらにこなれてくると思う。そのミックスの突破口となるスキが、襟(えり)や袖口や裾(すそ)や履物に存在しているのです。
だってそこは衣服と肌のキワだから。
トーク会を無事に終えて、3人でパチリ。
黒い足袋とマーチンの威力、お二人の足元にご注目。
もう一枚、パチリ
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(文:森山智子)
(アイキャッチ画像:山内貴暉×森山智子)
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森山智子
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2025年春から多読アレゴリアの「着物コンパ倶楽部」を主宰。
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コメント
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