自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
甲子園では高校野球が佳境を迎えている。21日はベスト4が激突。55[守]の卒門日8月24日には優勝校が決まっているはずだ。
高校野球の開催期間、甲子園を球児に明け渡して1カ月近い長期ロードに出るのが阪神タイガースだ。かつては疲労が蓄積し、調子を崩すこともあり「死のロード」とも呼ばれていたが、今年は好調だ。3連勝で優勝マジックを21に減らし首位を走っている(19日現在)。その原動力が4番としてチームを引っ張る佐藤輝明だ。豪快なスイングでスタンドまで白球を運ぶ姿は、すでに甲子園の風物詩。打撃不振に苦しんだ時期もあったが、打撃フォームの修正を重ねてスタイルを築き上げた。自らを編集した結果の31本塁打はセ・リーグトップ、6年目で初の本塁打王が見えてきた。佐藤輝明は近畿大学出身だ。
また、琴勝峰の幕内優勝で幕を閉じた大相撲名古屋場所。十両優勝したのは二子山部屋の三田大生(みた・だいき)だった。近畿大学出身で、相撲部主将も務めた入門2年目の力士だ。五月場所で左手を骨折したが稽古で克服。小兵らしいスピードを生かし、十両を2場所目で制した。
プロ野球で大相撲で、近大出身アスリートが注目されている。OBの活躍に触発されたように55[守]の近大生も第2回番選ボードレールで大活躍した。マグロワンダフル教室では、半数以上の7人がエントリー。同朋衆による講評でも多数の作品が入選・入賞した。
アポなしの雷・ピンポンダッシュの幽霊
科学的な雷・オカルトの幽霊
紺青の北斎・曙のダーウィン
描く北斎・書くダーウィン
全員の珈琲・成人の麦酒
どの作品もミメロギアの対比の型を意識し、語呂など発音にもこだわっている。なかでも「アポなしの雷・ピンポンダッシュの幽霊」は、玄関先のちょっとしたドラマに注意のカーソルを当てた、近大ミメロギア史にも残る快作だろう。
第4回稽古Dayの模様
55[守]は今、4日後の全番回答期限に向けて全教室が編集稽古に向かっている。近大生も卒門目指しお題と格闘中だ。徹夜で7連続回答した強者も現れた。19日には、第4回となる恒例の稽古Dayに4人が参加した。一番の山となりそうな「イシスな文体練習」を全員で稽古した。「地をそろえるとは、相手に何かを伝えようとすること」「何を言っているかわからないのは、相手のことを考えられていないから」―東京から駆け付けた蒔田俊介、南田桂吾から実践的なアドバイスもあった。
編集もまたスポーツと同じく挑戦の連続だ。豪快な放物線を描く佐藤輝明のように、スピード感ある三田大生のように、OBアスリートに倣って編集し、卒門を目指そう。編集ホームラン王へ―この夏の挑戦が明日への扉を開く。
アイキャッチ/稲森久純(55[守]師範代)
文/景山和浩(55[守]師範)
週刊キンダイ 連載中!
週刊キンダイvol.001 ~あの大学がついに「編集工学科」設立?~
週刊キンダイvol.002 ~4日間のリアル~
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
秋の絵本を「その本を読むのにふさわしい明るさ」で3つに分けると、陽だまり・夕焼け・宵闇になる。 多読アレゴリア「よみかき探究Qクラブ」のラウンジに出された問い「本をわけるあつめる。するとどうなる?」への答えだ。 クラブで […]
教室というのは、不思議な場所だ。 どこか長い旅の入口のような空気がある。 まだ互いの声の高さも、沈黙の距離感も測りきれないまま、 事件を挟めば、少しずつ教室が温かく育っていく。そんな、開講間もないある日のこと。 火種のよ […]
かなりドキッとした。「やっぱり会社にいると結構つまんない。お給料をもらうから行っておこうかなといううちに、だんだんだんだん会社に侵されるからつらい」。数年前のイシス編集学校、松岡正剛校長の言葉をいまもはっきりとはっきり […]
花伝所の指導陣が教えてくれた。「自信をもって守へ送り出せる師範代です」と。鍛え抜かれた11名の花伝生と7名の再登板、合計18教室が誕生。自由編集状態へ焦がれる師範代たちと171名の学衆の想いが相互に混じり合い、お題・ […]
これまで松岡正剛校長から服装については何も言われたことがない、と少し照れた顔の着物姿の林頭は、イシス編集学校のために日も夜もついでラウンジを駆け回る3人を本棚劇場に招いた。林頭の手には手書きの色紙が掲げられている。 &n […]
コメント
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2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。
2025-11-13
夜行列車に乗り込んだ一人のハードボイルド風の男。この男は、今しがた買い込んだ400円の幕の内弁当をどのような順序で食べるべきかで悩んでいる。失敗は許されない!これは持てる知力の全てをかけた総力戦なのだ!!
泉昌之のデビュー短篇「夜行」(初出1981年「ガロ」)は、ふだん私たちが経験している些末なこだわりを拡大して見せて笑いを取った。のちにこれが「グルメマンガ」の一変種である「食通マンガ」という巨大ジャンルを形成することになるとは誰も知らない。
(※大ヒットした「孤独のグルメ」の原作者は「泉昌之」コンビの一人、久住昌之)
2025-11-11
木々が色づきを増すこの季節、日当たりがよくて展望の利く場所で、いつまでも日光浴するバッタをたまに見かける。日々の生き残り競争からしばし解放された彼らのことをこれからは「楽康バッタ」と呼ぶことにしよう。