稽古の旅・旅の稽古――今野知のISIS wave #07

2023/06/11(日)08:00
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イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。

日・韓・中・インドネシアでコミックを発行する漫画家であり、デザインも手掛けるマルチクリエイターであり、2匹の猫を飼う愛猫家であり、良きパパ。それが今野知さんだ。

イシス受講生がその先の編集的日常を語る、新しいエッセイシリーズ。編集学校で何を得たのか。何が変わったのか。第7回は、誰もが思う疑問を今野知さんが率直に綴る。

 

■■稽古は自己との対話だった

 

 稽古で何を得たのか? これは守・破・物語講座を終えた僕にとって、疑問だった。
 文章を書く技術や思考スキルは上がった。卒門後は稽古を役立てようと「あの型で文章を書いてみよう」とか「資料まとめにこの型を使おう」とか躍起になっていた。でもいつしかそんな気持ちは薄れ、稽古後1年経った今では、型を使わなくなってしまった。
 それでも稽古に意味は感じている。楽しかった思い出に浸りたいわけでも、時間とお金を無駄にしていないと強がりたいわけでもない。理由はわからないが、稽古あっての今があるという気持ちだけは間違いない。
 このエッセイに四苦八苦している僕を見た妻が「あなたは前より落ち着いたよね」と言った。僕はそれだと思った。
 僕は嫌なことがあると、脳内で勝手にその後の展開を悪い方に想像してしまう癖があった。起こってもいない負の物語だ。稽古を始めた頃の僕は、それが原因で心に傷を負い不安定になっていた。
 稽古は、自分と対話をするものが多かった。それが結果としてカウンセリングとなり、落ち着きを取り戻せたのだろう。
 これが僕の稽古によって起こった変化だ。旅が己を見つめる良い機会となるように、僕には稽古が旅そのものだったのかも知れない

▲今野さんは、子供が生まれてから、定期的にわが子をスケッチしている。パパ×漫画家のインタースコア。今野さんの日常は稽古そのものだ。

 

こんな稽古にどんな意味があるのだろう? 何が変わるというのだろう? イシスで編集術を学んだ誰もが一度は抱く疑問です。それは、イシスの学びが常に危うい<さしかかり>にあるから。教室の師範代も師範も、答えは決して用意しません。考え続けるその人にひたすら寄り添い、どこかにあるその人だけの別様の可能性を共に探します。編集術を一度体に通したその人は、今野さんが無意識にインタースコアという編集術を使いながら暮らしているように、じつは型を使っていない様で使っているのです。<無意識の編集>という型を。


■編集後記■
今野知さんのエッセイは随分前から進行していたのですが、公開の順番の都合でボヤボヤしているうちに、別企画のインタビューに掲載を追い抜かれる羽目に。無念……。

 

文・写真提供/今野知(46[守]角道ジャイアン教室、46[破]ほろよい麒麟教室)
編集/角山祥道、羽根田月香

  • エディストチーム渦edist-uzu

    編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。

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