予言しよう。
来たる12月25日のクリスマスの朝。イシス編集学校全体を震わす大事件が起こる。
事件とは何か。ひとつは「笑い」、ふたつめは「ことば」、みっつめは「1000日興行」。笑い×ことば×1000日興行というとんでもないインタースコアの大渦が、イシスに関わる(イシスに興味を持つ)すべての人を巻き込むだろう。
事の発端は、浅草の骨董屋だった。
ある陽気のいい秋の午後、浅草・蔵猫町(くらねこちょう)の骨董店の土蔵の奥から、一台の奇妙な「こんぴうた」が発見されれた。それは電源もないのに毎日コトコトと「問い」を投げかけるという奇妙もので、筐体には「大入道2000」と銘記されていた。
あまりに気持ち悪いので骨董屋の主人は電子機器ゴミ回収に廻そうとしたが、やってきた回収人のひとりが「それは捨ててはなりませぬ。実は……」と聞かれもせぬのに朗々と語り出した。
回収人の問わず語り。
この「こんぴうた」は、その昔、江戸のはずれにあった銅坂(あかさか)大賛寺村に長らく受け継がれていた「自動大喜利根太生成器」で、毎日ひとつづつ村人に「お題」を吐き出していたという。そのお題は、一見下世話に見えて、その実、哲学の深淵を抉るようなえぐみがあり、あるいは、笑いを誘うようなものもあったという。
回収人は続ける。
ある時、日々お題を吐き出していた「大入道2000」に挑まんと、四人の願人坊主が大賛寺に立てこもり、一千日にわたって連続してお題に応える「大賛寺大喜利興行」を開いた。表僧正(正体不明)、裏僧正(正体不明)、小坊主(鮫漫坊・唐突坊の二名)の四人は、毎朝コトコトと吐き出されるお題を門に張り出し、夕刻、村人たちからの答えを集め、披露し、出来の良い物を堂内に納めていった。
ところが、ある日、ふとした村人の回答が大当たり。それを見た者はすべからく笑いが止まらず、終いには集まったすべての村人が腹をかかえて笑い苦しみ、とうとう一人残らず笑い絶えてしまった。
これ以降、大賛寺村はいつしか「大惨寺村」と呼ばれるようになり、寺は朽ち、大入道2000も、四人の願人坊主もいずこへと消えた。
語りを終えた回収人は「喝!」と一声発すると、ゴミの山に飛び込んで消えてしまった。
骨董屋は、その話を聞いてうかつに捨てるわけにもゆかず、さりとて無駄にするのももったいないと、店先に出して日々の来客にお題を出して呼び物にしていたが、そこに通りがかったのが、それぞれ「出部将」「筆部将」を名乗る、眼鏡と坊主アタマの怪しげな二人。「大入道2000」を見るや二人目配せし、祈祷を条件にこれを預り受けた。
出部将、筆部将はこれを「編集の国」に持ち込み、一千日の大興行を打つことに決めたのであった。(出武将、記す)
角山祥道
編集的先達:藤井聡太。「松岡正剛と同じ土俵に立つ」と宣言。花伝所では常に先頭を走り感門では代表挨拶。師範代登板と同時にエディストで連載を始めた前代未聞のプロライター。ISISをさらに複雑系(うずうず)にする異端児。角山が指南する「俺の編集力チェック(無料)」受付中(左のQRコードからどうぞ)
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