2025新春放談 其の参 – イシス随一のマエノメリな姿勢が武勇伝をつくる

2025/01/04(土)07:00 img
img
編集工学研究所2025年年賀状

遊刊エディストの新春放談2025、其の参 をお届けします。今回のゲストは、いくつものロールを重層的に引き受けたうえに、JUSTライターとしても活躍。学校内外を縦横無尽に往来して、モーメントをアーカイブする人。吉村林頭をして、イシスでもっともマエノメリな男といわせたこの方、畑本ヒロノブ師範代です。

 

◎遊刊エディスト編集部◎

吉村堅樹 林頭, 金宗代 代将, 後藤由加里 師範, 上杉公志 師範代, 松原朋子 師範代,

 

◎ゲスト◎

畑本ヒロノブ師範代

 

 

吉村 さてさて。ここからは、2024年に輝いたエディスト・ライターたちをゲストに、放談していきましょうか。

 

  編集部から一番に名前が挙がったこの方をお呼びしていますよ。どうぞ!

 

畑本 どうも、畑本です。

 

 

◆多重ロールの上にJUSTライターを引き受けた、その心は?

 

上杉 畑本さんは、JUSTライターの中でも、特に走り続けていて、色々なロールを行ったり来たりしながらも続けていらっしゃるんですよ。2024年には9本の記事を書いてくださいました。2024年のはじまりは、松岡校長が行った、1月4日の仕事始め“現代書を語る”シンポジウムの記事で、スタートダッシュを決めてくださいましたね!

 

畑本 校長の記事を2回かけてよかったなと思っています。23年に1本と、24年に1本と。

 

上杉 JUSTライターとしては、初期からご一緒くださっていますよね。

 

畑本 はい、2023年3月、上杉さんがJUSTチームを立ち上げて、ウメ子師範が記事の書き方を手ほどきしてくださったときからですね。あの時は51[守]の師範代ロールが始まるタイミングでした。と同時に、[多読ジム]の冊師もできるでしょと言われて、両方のロールをやっていたんです。[守]の師範代は2回目で、忙しくなるタイミングが分かっていたのでなんとかできました。

 

  そんなにやって大変じゃないかと思わなかったですか?

 

畑本 師範代ロールは、自分が創文することはあまりないじゃないですか。自分自身がモノを書くことが大事だなと思って、JUSTライターに挑みましたね。

 


畑本ヒロノブ師範代

編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。

関連記事:イシス人インタビュー☆イシスのイシツ 《77感門DAN ZEN編》用意周到な畑本ヒロノブ


 

◆エディスト・ライターをもって、博覧強記になれたのかどうか?

 

吉村 僕が初めて畑本くんを認識したのは、輪読座で熊沢蕃山を扱ったときに、茨城県古河市でツアーをやった時ですよ。2019年の輪読座は、史上最高に参加者が少なかったシーズンで(笑)。あの時、輪読座を受講していなかったけれどもツアーにやってきたのが、畑本くんだったよね。

 

畑本 はい、あの時は、物語講座12綴を受講中の叢衆でした。

 

輪読クエスト《古河探訪篇》、通称「ブラバジラ」レポート

バジラ高橋の左後、吉村林頭の右側にたたずむ、当時は叢衆だった畑本師範代

 

吉村 「博覧強記になりたいんですが、どうしたらなれますか」ということを輪読座の講師であるバジラ高橋さんに質問したんですよね。そのときにバジラさんが、彼は見どころがあるねと言っていました。

 

畑本 イシス編集学校で学ぶと、もっともっとインテリになれるんだと思っていたんですが、突破まではしたんですが、まだその時に、そうなれている実感があまりなかったんです。それで高橋さんに聞いてみたらいいかなと思って参加してしまったんです。

 

吉村 高橋さんにどんなコメントをもらったのか覚えていますか?

 

畑本 日々の仕事の中で言葉をひとつひとつ覚えていけ、と言われた記憶があります。調べて覚えて、それを誰かに話すのだ、と。ご自身は覚えた言葉を松岡校長に話してみるのだそうで、そうすると、その言葉を校長が知っていたりするんですよ、というような話で、わきあいあいと話してくださいました。

 

 

◆必ず前の席に、必ず質問を。マエノメリな姿勢の本心は?

 

吉村 その後も、畑本くんはよくイシス編集学校のイベントに顔を出してくれて、特に、「情報の歴史を読む」のシリーズには、ほとんど参加してくれているよね。

 

畑本 1回だけ出張のスケジュールを変えられなくて参加できなかったんです。

 

吉村 毎回、一番前に座って、質疑応答の時間になったら、ちらちらこちらをみてくれるので、畑本くんを指名して必ず質問をとる、という流れになっているよね。僕の中では、「畑本名人」というニックネームがついているぐらいですよ。

 

後藤 もはやお約束の儀式ですよね(笑)。

 

畑本 実際、情報の歴史シリーズでは、一番前に座ることをモットーにしつつ。いつの時からか、質問もしようと決めたといいますか。

 

吉村 アーカイブ動画を見る人にとっても、畑本名人の映り込みは、ひとつのお楽しみになっているかもしれないよね、あ、また質問した、あの人だれだろう?って(笑)

 

後藤 畑本さんといえば、松岡校長が成田山書道美術館を視察した後、その記事を見て成田に足を運んだらしいと、校長に伝えたんですよね。そのあとから、畑本は可愛いな、と校長が言い出した気がします。

 

吉村 校長も畑本くんをよく褒めていたもんね。

 

後藤 それが印象深かったのと、[多読ジム]三冊筋プレスの記事の中で、シルバニアファミリーの人形が写真の四隅に置かれていたんですよ。それでコレクターなのかと思って、気になって畑本さんに声をかけたことがあったんですよね(笑)

 

マツコ 後藤さんがシルバニアファミリーの人形を?!…(笑)

 

後藤 いや、そのころ、私、疲れていて(笑)、癒しを求めてシルバニアファミリーに走っちゃおっかなと思っていた時期だったので。

 

畑本 コレクターではなかったんですが、たまたま入手することがありまして(笑)

 

マツコ 畑本さん、かわいい…。

 

噂の写真は、これだ!!

 

 

◆野望は師範代ロールの制覇。死について極めた先に目指すものは?

 

吉村 イシスでも、畑本くんの前のめりな姿勢は随一だと思いますが、どんなことがモチベーションになっているんでしょうか?

 

畑本 [離]に行ったことがきっかけだと思っているんですが、常に不足を感じる性格になってしまったんです。退院したものの、[離]では思ったように走り切れず、もやもやっとして。その影響が大きいんじゃないかな。本もそれ以来、大量に買うようになりました。

 

吉村 次の野望はなんなの?と、手嶋龍一さんがゲスト回の情歴を読むイベントの際に聞いてみたら、[物語講座]の師範代だと即答してくれて、それならばと[物語講座]17綴の師範代に挑戦してもらうことになりましたよね。

 

畑本 その時に思っていたことが実は2つあって、ひとつは[物語講座]の師範代、もうひとつは[花伝所]の錬成師範をやりたかったんです。

 

吉村 じゃあ、今聞いたら、錬成師範をやりたいと答える?

 

畑本 いや、今は師範代を網羅するようにしたいんです。ですので次は、AIDA師範代でしょうか。ただ、[離]の別当師範代はまだまだ先のことだとは思うのですが、、、

 

吉村 そこまでいくの? いや、それはすごい、すごい。ここで宣言しておいてくれるといいと思いますよ。太田香保総匠がこの記事をみていたら、そういう風に思っているのねとキャッチされるかもしれませんからね。師範代制覇した人は、まだいないんじゃないですかね。

 

  畑本さんの2024年はどんな年でしたか?

 

畑本 常に師範代として指南し続けていた1年間でした。勢いのある学衆、叢衆に恵まれていると思っています。いい形で編集的な方々と出会えたのがよかったです。破では、桂大介師範に出会えたのが大きかったんです。指南の中で“感”を伝えるのが苦手だと話をしていたところ、メタファーをもっと使うとよいとアドバイスいただきました。分析的な指南になりがちなのですが、そこから一歩踏み出せるようになったのは、桂師範のおかげです。

 

吉村 2024年は編集三昧で、畑本くんにとってはいい1年だったと思いますね。さらに2025年はどんな年にしたいですか?

 

畑本 自分は主題がないタイプの人なのですが、[多読アレゴリア]の四門堂に入ったことは主題を持つことになり、今後の稽古が楽しみです。死を語れるようになろうかなと思っています。死を考えることは生を考え、よく生きることにつながると思っていまして。私自身、惜門館に2回参加させていただきました。わたなべたかしさんと山根尚子さんと。自分自身も人生の半分ぐらいまで来ていると思っているので、善く生きることを極めてみたいと考えています。イシス自体が主題ではなくて述語的なものだと思っていたのですが、[多読アレゴリア]は主題を扱っているので、生と死はしっかりとおさえて、また新しいロールを担当する際に、深みのある指南ができるといいかなと思っています。

 

吉村 大音美弥子冊匠率いる四門堂は、生と死をテーマにしているんですよね。現代を突き刺すようなテーマだと思っています。僕は以前から、惜門館は現代に問いかけるテーマとしても可能性が大きいと考えているんですよ。世の中の葬儀では、戒名はお寺さんにつけてもらって、何年も面識のなかった親戚が集まるけども思い出すら語れないことがあります。そんななかで、イシス編集学校には、一人一人が記してきた編集稽古のテキストやログがふんだんに残っていて、家族も知らなかった一面を振り返ることができる。私たちは個人の死にどう向き合っていけばいいかを考えさせられる機会になりました。惜門館があるということが、関係が希薄な現代社会に問題提起できるんじゃないかと思っています。畑本くんも四門堂の活動を通して、あらたな死への向き合い方をぜひ考えてもらえたらと思います。

 

 

◆2025年も、マエノメリ全開でよろしく!

 

上杉 今回、この新春放談のために、2024年の畑本クロニクルをつくってくださったんですよね。マップをすぐに形にできるということが、畑本さんの編集力の特徴だと思っています。JUST記事も、その日のうちに書ききる力、短いものをぎゅっと書ききるスピードをお持ちで、私自身は驚くことが多かったんですが。

 

▶畑本”用意の人”ヒロノブ作、2024年の自分クロニクルをエクセルで!

 

畑本 用意と卒意ですね。角山師範からは用意の人だと言われているんですよ。

 

上杉 「用意」がキモなんですね! きっと走り続けるために、「JUST記事として今日のうちでケリをつける」ということを意識的にやられているのかと思っていました。

 

吉村 畑本くんには、これからもイベントに参加して、質問をし続ける畑本武勇伝を更新し続けていただけたらと思います。基本的には、イベントに出たら必ず質問してくださいね。この人、また質問してるよ!となって、ゲストと畑本名人がレギュラー出演になるという、ね(笑)。2025年の活躍も楽しみにしています。

 

 

其の参 はここまで!

続く其の肆は、畑本師範代の野望、AIDA師範代・[離]別当師範代を2024年につとめたT別当師範代がゲストです。こうご期待🐍

 

 

————-

🎍2025年 新春放談🎍

其の壱 – 今年、エディストは“松岡正剛の再編集”へ向かう(1月2日公開)

其の弐 – 死者との約束を胸に、新潮流[多読アレゴリア]を動かす(1月3日公開)

其の参 – イシス随一のマエノメリな姿勢が武勇伝をつくる(1月4日公開)(現在の記事)

————-

 

  • エディスト編集部

    編集的先達:松岡正剛
    「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。