飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。

イシス編集学校には学衆から師範代へと衣替えするための編集コーチ養成所「ISIS花伝所」があります。花伝所での5М(Model、Mode、Metric、Management、Making)を通じた8週間の短期間で、師範からのディレクションを受けながら指南の方法を学び、教室のイメージをマネージメントできるのですね。
今回、花伝所の修了を寿ぐ放伝式のスタートを切った所長・田中晶子からのメッセージにスポットライトを当ててレポートいたします!
まず今期(2024年10月~2025年3月)、講座ごとに開催している感門之盟の設えを進めていた用意と卒意の達人である師範たちに対する労いのメッセージがありました。師範たちがエディットスパイラル(EDIT SPIRAL)を進めることで、周囲の師範代たち、学衆たち、舞台を支える黒膜衆たちが巻き込まれてゆき、感門之盟の開催へ動いていったのです。
花伝所長としてディレクションすることのある師範たちの編集力をリバースエンジニアリングするにあたり、田中はカオスの中から可能性が生まれることを強調していました。ちょうど放伝式の前に行われた応用コース「破」の師範代たちに向けた出世魚教室名発表で明かされた新教室「カオスの縁子さん教室」が具体例に出ていましたね。千夜千冊1226夜『宇宙の不思議』に書かれていた通り、「カオスの縁」の近辺で「相転移」や「創発」」が起こるのです。
イシス編集学校の校長・松岡正剛が最後に出席した2024年5月の41期花伝所の入伝式では、出席者に対して「引き算」という奥義が託されていたことを田中は振り返っていました。『知の編集術』に「編集は不足から始まる」と記述されていますが、大事なものを伏せることで編集にさしかかることができるのです。
花伝所で5Mを体得して師範代認定証を得た放伝生たちの多くは、春開講の55期の「守」基本コースへと学衆ではなく師範代として舞い戻ります。ロールを変えることで、これまでの教室や講座を360度のカメラを使って俯瞰的に、微細的に観察できるようになりますね。
師範代として毎日観察することになる教室に対して、仕組みを通じて生まれる「感知するモノ」を取りこぼしてはならない、と松岡は話していたようです。放伝して師範代ロールを見送った場合でも、日々のコミュニケーションを通じて、花伝所の5Mの型を使いながら新たしい知を生み出してほしい、と田中は強調していました。
イシス編集学校の一番の良さは教室などのトポスにおいて、カオスを保ちながら豊穣なモノにして編集力を起こせることです。突破(「破」コースを修めたこと)された方は、誰にでも宿っている感知センサーの芽を伸ばしながら、相互編集を進めて新しい知を生み出す師範代の方法を体得できる花伝所に向かってほしいですね。
畑本ヒロノブ
編集的先達:エドワード・ワディ・サイード。あらゆるイシスのイベントやブックフェアに出張先からも現れる次世代編集ロボ畑本。モンスターになりたい、博覧強記になりたいと公言して、自らの編集機械のメンテナンスに日々余念がない。電機業界から建設業界へ転身した土木系エンジニア。
<速報>43[花]花伝敢談儀:千夜千冊エディション『少年の憂鬱』の図解レポート
「「つもり」と「ほんと」を分けちゃだめ」 8月に入るとともに大型の台風9号が本州近くの関東に接近しました。暴風雨は遠ざかりましたが、猛暑の影が忍び寄っていますね。気温の上昇とともに、イシス編集学校の編集コーチ養成コース […]
<速報>「いったん死んでよみがえること」物語編集術レクチャー54[破]破天講
「神話が足りない」 5月も終盤へと向かい、6月の梅雨の時期に入ろうとしていますね。日本国際博覧会協会(万博協会)が大阪・関西万博の5月23日の一般来場者数(速報値)が約13万9千人だったと発表しました。開幕日の約12万 […]
「言葉の学校であるが、イメージについて語りたい」 4月末からのゴールデンウイークが終わり、初夏に向けて最高気温も上昇中です。フィクションでの枢機卿たちの思惑を描く『教皇選挙』が上映されて架空の教皇が選出されていました […]
<速報>REMIX校長校話「あやかり編集力」三匠対談に迫る(179回伝習座)
桜の開花とともに4月に入り入社式、入学式、始業式が一斉に行われていますね。イシス編集学校も4月から5月にかけて、55期の基本コース[守]、54期の応用コース[破]の講座がスタートします。フレッシュな顔立ちをした通勤、通 […]
間もなく桜の開花シーズンですね。自然の美しい風物を示す花鳥風月の内、優しい色をした花によって生命の息吹が伝わってきます。ニュースを確認すると東京の開花は3月24日の予報のもよう。一足先の15日にイシス編集学校における修 […]
コメント
1~3件/3件
2025-08-16
飲む葡萄が色づきはじめた。神楽鈴のようにシャンシャンと音を立てるように賑やかなメルロー種の一群。収穫後は樽やタンクの中でプツプツと響く静かな発酵の合唱。やがてグラスにトクトクと注がれる日を待つ。音に誘われ、想像は無限、余韻を味わう。
2025-08-14
戦争を語るのはたしかにムズイ。LEGEND50の作家では、水木しげる、松本零士、かわぐちかいじ、安彦良和などが戦争をガッツリ語った作品を描いていた。
しかしマンガならではのやり方で、意外な角度から戦争を語った作品がある。
いしいひさいち『鏡の国の戦争』
戦争マンガの最極北にして最高峰。しかもそれがギャグマンガなのである。いしいひさいち恐るべし。
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。