中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
 
                                                                                 
        
        
         
                         
                好評につき、多読アレゴリアの申込受付を12月1日(日)まで延長しました。なお、どのクラブも定員に届き次第募集終了です。すでに締切間近のクラブもいくつかあるので、希望のクラブに絶対入りたいという方はお早めの申込をオススメします!!!!!
「時間がない」「お金がない」。SNSやメールの通知に追われ、スマホを片手にこんなセリフを繰り返していませんか?便利なはずのテクノロジーが、いつしか私たちの時間を吸い取る時間泥棒になっているのかもしれません。
灰色の背広を着た時間泥棒が登場するミヒャエル・エンデの名作『モモ』は、このような現代人の状況を象徴的に描き出し、時間の使い方に警鐘を鳴らしています。灰色の男たちは「時間を貯める(=節約する)」ことの重要性を説きながら、実は人々からその時間を奪い去り、効率や成果に追われる日々をもたらします。私たちも、この物語のように、知らないうちに消費や情報の渦中で時間を奪われてしまっていないでしょうか。
19世紀の思想家ヘンリー・ソローが記した『森の生活』もまた、物質的豊かさから離れ、自然の中で暮らす「本当の豊かさ」を教えてくれます。ソローが語る「簡素な生活」「自然との対話」は、『モモ』が描く「時間を取り戻す旅」と深く通じています。
軽井沢は、こうした静かな時間と自然の豊かさを味わえる場所です。観光地としての派手さだけでなく、ソローのように「消費に追われない生き方」を実践する機会が得られます。たとえば、朝の森を歩きながら風や鳥の声に耳を澄ませたり、湖畔で静かに本を読み、自然と心が共鳴するひととき。また、浅間山を見上げながら田畑を耕し、時間をかけて夕餉の支度に勤しむ夕べなど、心の静寂を取り戻せる時間に満ちています。
さぁ、軽井沢の時間の中で、自分だけの「トポス」(特別な場所)を探してみましょう。もちろん、軽井沢在住でなくても構いません。自分の想像の中で、「別想・軽井沢」を歩いてみたっていいのです。
たとえば、歴史ある中山道を自分ならどういう歩き方をするだろうかと空想してみたり、堀辰雄の『美しい村』を読み返しながら、自分なら「水車の道」のどんな景色に感動するかに想いを巡らせてみたり。本を片手に、心が赴くままに歩きながら、大切な「トポス」と出会ってみる。そのひとときが、忙しい日常に置き忘れていた「本当の自分」を呼び覚ましてくれるかもしれません。
灰色の男たちが奪おうとした「無駄な時間」こそが、私たちの人生で最も豊かな時間です。軽井沢で、『モモ』のメッセージを胸に、自然や文学、歴史を楽しみながら、消費を超えた新しい時間の過ごし方を見つけてみませんか?
多読アレゴリア【軽井沢別想フロンティア】
【定員】20名
【開講日】2024年12月2日(月)
【申込締切日】2024年12月1日(月)
【受講費】月額11,000円(税込)*リアル開催の座(イベント)は別途会費制
*2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【開催期間】2024冬 2024年12月2日(月)~2025年2月23日(日)以後順次決定
お申し込みはこちらから
https://shop.eel.co.jp/products/detail/765
文:浅羽登志也
アイキャッチ画像:軽井沢別想フロンティア×山内貴暉
EDO風狂連(田中優子監修):EDOで別世が立ち上がるーーEDO風狂連花鳥風月之船立
多読ジムClassic:読書術をアップデート!自分だけのヴァージョン探し
勝手にアカデミア③:2030年の鎌倉ガイドブックを創るのだ!
OUTLYING CLUB(武邑光裕監修):少数なれど熟したり。はぐれ者で行こう!
軽井沢別想フロンティア②:灰色の背広を脱ぎ捨てて
緊急瓦版!『多読アレゴリア 大河ばっか!』ーー本が連なり、歴史の大河へ
大河ばっか!①:「大河ばっか!」の源へ(キャラクター・ナレーター編)
千夜千冊パラダイス①:シーズン1のKEY千夜は、松岡正剛「原点」の一冊!
音づれスコア:Coming soon
                            
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。                            
田中優子の酒上夕書斎|第五夕『苦界浄土』石牟礼道子(2025年10月28日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい)」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら […]
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 さて、11月は待望の「本の祭典」月間がやってきます。11月2日は福岡で、11月23日、24日は東京・豪徳寺で、 […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
【プレスリリース】本好き必見:松岡正剛の郷読&多読 2大ブックフェス開催!11月、東京と福岡で「本の祭典」——九州は田中優子トーク、東京は6万冊の本棚空間で古本市&ライブトークをイシス編集学校が初開催
本を読むだけでは終わらない、本の新たな可能性をひらく読書の祭典へ——。 イシス編集学校は、11月に福岡と東京で本好き必見の二大イベントを開催します。校長であり編集工学者の松岡正剛の読書術を活かした「郷読」「多読」の祭典で […]
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 最近ではめきめきと秋 […]
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2025-10-29
 
                                                                                中二病という言葉があるが、この前後数年間は、”生きづらい”タイプの人にとっては、本格的な試練が始まる時期だ。同時に、自分の中に眠る固有のセンサーが、いっきに拡張し、世界がキラキラと輝きを放ちはじめる時節でもある。阿部共実『月曜日の友達』は、そんなかけがえのない瞬間をとらえた一編。
2025-10-28
 
                                                                                松を食べ荒らす上に有毒なので徹底的に嫌われているマツカレハ。実は主に古い葉を食べ、地表に落とす糞が木の栄養になっている。「人間」にとっての大害虫も「地球」という舞台の上では愛おしい働き者に他ならない。
2025-10-20
 
                                                                                先人の見立て力にひれ伏すしかないと思って来た「墨流し」。戯れに、Chatさんに「蝶のスミナガシを別の見立てで改名するにはどんな名前がいいですか?」と尋ねてみて、瞬時に現れた名答に打ち拉がれております。