【多読アレゴリア:大河ばっか!②】「大河ばっか!」の源へ(キャラクター・ナレーター編)

2024/11/17(日)08:00
img

 数寄を、いや「好き」を追いかけ、多読で楽しむ「大河ばっか!」は、大河ドラマの世界を編集工学の視点で楽しむためのクラブです。
 ナビゲーターを務めるのは、筆司(ひつじ)こと宮前鉄也と相部礼子。この二人がなぜこのクラブを立ち上げたのか?それは、物語好きな筆司たちが、過去の大河ドラマを編集工学の型によって紐解き、その魅力を分かち合いたいという思いからです。
 物語マザー編に続いて、物語の5要素のうち、キャラクター、そしてナレーターに注目してみましょう。

 

 

◆キャラクター
 ステレオタイプを作り、ステレオタイプを壊してきた。それが大河ドラマ。豊臣秀吉、と聞いて竹中直人(「秀吉」1996年放送)や西田敏行(「女太閤記」1981年放送)がぱっと浮かぶのではないでしょうか。これぞまさに、ステレオタイプというもの。
 と同時に、人物の新たな一面に光をあててきたのも、また大河ドラマなのです。1作目の「花の生涯」(1963年放送)では、主人公の井伊直弼の聡明さ、人間らしさを丁寧に描くことにより、「安政の大獄を強行し多くの反対者を弾圧した悪者」という従来のイメージを覆しました。「麒麟がくる」(2020年放送)では、なぜ明智光秀が信長に謀反を起こしたのか。むしろ光秀に理あり、と感じた視聴者も多かったに違いありません。
 歴史における主役級の人物だけではありません。「黄金の日々」(1978年放送)では根津甚八演じる石川五右衛門が、また「鎌倉殿の十三人」(2022年放送)では佐藤浩市演じる上総広常が、強烈な死のシーンを通じて記憶に残っています。脇役もまた多彩な魅力を放っているのです。

 

◆ナレーター
 「今宵はここまでにいたしとうございまする」。「武田信玄」(1988年放送)の語り、若尾文子演じる信玄の母・大井夫人の名台詞です。毎回、エンディングはこの言葉で締めくくられていました。実際の語りだけではなく、誰の視点でドラマが作られるか。それは歴史的事実を誰が、どのように見ていたかを明確にするものです。「花燃ゆ」(2015年放送)は、吉田松陰の妹・文(後に美和)の目から見た幕末、そして明治維新の物語でした。「おんな太閤記」(1981年放送)は、秀吉の妻・ねねの目から見た戦国時代。いずれも男性が活躍した(言い過ぎを承知で書くと男性ばかりが目立った)時代を、女性の視点で捉えることにより、教科書で知っていただけの歴史の一面だけではなく、歴史に豊かな表情を与えてくれたのではないでしょうか。

 

 

 多読アレゴリア「大河ばっか!」では、このように編集工学の視点から大河ドラマを深く読み解いていきます。クラブ内で語り合いながら、登場人物の成長や葛藤、物語に隠されたテーマを掘り下げ、大河ドラマに流れ込む豊かな支流を一緒に生み出していきましょう。どうぞお楽しみに!

 


多読アレゴリア「大河ばっか!」
【定員】20名
【開講日】2024年12月2日(月)
【申込締切日】2024年11月25日(月)
【受講費】月額11,000円(税込)
*2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、
2クラブ目以降をお申し込みください。
【開催期間】2024冬 2024年12月2日(月)~2025年2月23日(日)以後順次決定

お申し込みはこちらから
https://shop.eel.co.jp/products/detail/765


アイキャッチ画像:大河ばっか!×山内貴暉

 

▼関連記事
相部礼子が大河ドラマを読む連載シリーズ
「紫~ゆかり~への道◆『光る君へ』を垣間見る」
其ノ一
其ノ二
其ノ三
其ノ四
其ノ五
其ノ六
其ノ七
其ノ八
其ノ九
其ノ十

 

【多読アレゴリアWEEK!全12クラブ一覧】

早い者勝ち? 多読アレゴリアとは何か!!!!!!!!!?

終活読書★死生堂:あらたな死生観に出会う道行き

よみかき探Qクラブ:求ム!愉快なよみかき「探Q」人

EDO風狂連(田中優子監修):EDOで別世が立ち上がるーーEDO風狂連花鳥風月之船立

多読ジムClassic:読書術をアップデート!自分だけのヴァージョン探し

勝手にアカデミア:勝手にトポスで遊び尽くす

勝手にアカデミア②:文化を遊ぶ、トポスに遊ぶ

OUTLYING CLUB(武邑光裕監修):少数なれど熟したり。はぐれ者で行こう!

軽井沢別想フロンティア:軽井沢にべつそうを!

緊急瓦版!『多読アレゴリア 大河ばっか!』ーー本が連なり、歴史の大河へ

大河ばっか!①:「大河ばっか!」の源へ(物語マザー編)

大河ばっか!②:「大河ばっか!」の源へ(キャラクター・ナレーター編)

大河ばっか!③:「大河ばっか!」の源へ(温故知新編)Coming soon

群島ククムイ(今福龍太監修):Coming soon

千夜千冊パラダイス:Coming soon

身体多面体茶論:Coming soon

音づれスコア:Coming soon

 

  • 相部礼子

    編集的先達:塩野七生。物語師範、錬成師範、共読ナビゲーターとロールを連ね、趣味は仲間と連句のスーパーエディター。いつか十二単を着せたい風情の師範。日常は朝のベッドメイキングと本棚整理。野望は杉村楚人冠の伝記出版。

  • 【多読アレゴリア:大河ばっか!③】「大河ばっか!」の源へ(温故知新編)

    数寄を、いや「好き」を追いかけ、多読で楽しむ「大河ばっか!」は、大河ドラマの世界を編集工学の視点で楽しむためのクラブです。  ナビゲーターを務めるのは、筆司(ひつじ)こと宮前鉄也と相部礼子。この二人がなぜこのクラブを立 […]

  • 紫~ゆかり~への道◆『光る君へ』を垣間見る 其ノ十

    事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 冒頭、 […]

  • 紫~ゆかり~への道◆『光る君へ』を垣間見る 其ノ九

    事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 全てを […]

  • 紫~ゆかり~への道◆『光る君へ』を垣間見る 其ノ八

    事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 王朝 […]

  • 紫~ゆかり~への道◆『光る君へ』を垣間見る 其ノ七

    事実は一つ。であっても、それに対する解釈は無数に。「なぜ」と「どうやって」は見る人の数だけあるのでしょう。大河ドラマもまた、ある時代・ある人物に対する一つの解釈です。他の解釈を知れば、より深く楽しめるに違いない。 まひろ […]