空中戦で捉えた獲物(下)をメス(中)にプレゼントし、前脚二本だけで三匹分の重量を支えながら契りを交わすオドリバエのオス(上)。
豊かさをもたらす贈りものの母型は、私欲を満たすための釣り餌に少し似ている。

ほんのれんラジオの最新エピソードが公開されました!
イシス編集学校で世界読書奥義伝[離]まで了えた4名(ニレヨーコ、おじー、はるにゃ、ウメコ)がお送りするほんのれんラジオ。
まずは「恋愛」という言葉の変遷と、現在の若者の恋愛観について紐解いてみます。
今は「恋愛離れ」が進んでいるって本当?そもそも「恋愛」という言葉はいつから日本にあったのか?昔と今とじゃ、恋愛の意味は変わってる??
(※話の内容に、性的な表現を含みます。苦手な方はご注意ください。)
===editor’s note===恋愛は社会を映し出す鏡「若者の恋愛離れ」が話題だ。
ひと昔前は「愛の告白」の象徴だったバレンタインチョコも、Z世代はもっぱら友人や自分に贈るという。
その一方で、同性愛、ポリアモリー(同時多恋愛)、推しへのガチ恋など、多様な恋愛が顕在化している。「恋愛離れ」ではなく、恋愛のカタチが変わってきているだけなのかもしれない。
ジャック・アタリ『愛の歴史』によると、初期の文明では「一夫多妻」や「一妻多夫」も多かった。
しかしキリスト教が西洋を覆い始めると、布教と人口維持のために「一夫一妻」が理想化された。
「一夫一妻」は、社会秩序維持のために発明された装置だったのだ。
フランス宮廷文化が花開く近世には、女性に贅沢品を貢ぐという恋愛様式が生まれ、それが資本主義に火をつけた。
人間を突き動かす恋愛という欲望が、時代の思惑と混ざりながら社会をつくり、さらに社会が新たな恋愛のカタチを規定してきた。いたって個人的な感情でありながら、世界を動かすエネルギーになりうる「恋愛」。
5冊の旬感本を人間の欲望の「鏡」として、新たな恋愛観を映し出してみたい。
編集長・仁禮洋子
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エピソード目次佐藤優さん回振り返り/バレンタインデーお姫様抱っこ/恋愛現在地/優先順位と充実度/恋愛よりもチームトモダチ/男女二元論からの逸脱/恋愛とは?/「恋」は乱れる心/白川静的定義/弱小のものを愛しむ/仏教的には・・・/好色から恋愛、その呼び名の歴史的背景/肉交/プラトン「本当の愛とは、狂気である」/江戸時代の結婚観/ムラ・夜這い/明治時代、お見合い制度誕生/離婚は野蛮、というイメージはどこから?/ロマンティックラブイデオロギー/大正から戦前、9割お見合い/社内恋愛って自由恋愛?/恋愛と消費の紐づけ/仲人という信頼/単細胞生物でも、好みはある!/恋する・愛するイメージ/旬感本紹介
▼今月の旬感本
▼「これって恋愛? 〜この世界を動かす欲望〜」を考える 「ほんのれん」旬感本はこちらの5冊!
・『図説「愛」の歴史』ジャック・アタリ(著)ステファニー・ボンヴィシニ(共著)樺山紘一(日本語版監修) 大塚 宏子(訳)原書房 2009
・『進化が同性愛を用意した─ジェンダーの生物学』坂口菊恵(著) 創元社 2023
・『恋愛と贅沢と資本主義』ヴェルナー・ゾンバルト(著)金森誠也(訳) 講談社 2000
・『好色一代男』井原西鶴(原作) 島田雅彦(訳)河出書房新社 2023
・『21世紀の恋愛─いちばん赤い薔薇が咲く』リーヴ・ストロームクヴィスト(著)よこのなな(訳) 花伝社 2021
ほんのれん編集部
編集工学研究所×丸善雄松堂が提供する一畳ライブラリー「ほんのれん」の選書やメディア制作を手掛けるメンバー。関西弁で跳ねるデザイン知カンガルー・仁禮洋子(ニレヨーコ)、小鳥の風貌ながら知的猛禽類な山本春奈(はるにゃ)、昭和レトロを愛する果敢なコンパイル亀・尾島可奈子(おじー)、2倍速で情報収集する雑読チーター・梅澤奈央(ウメコ)ほか。ほんのれんラジオは毎週水曜更新中。ほんのれん編集部公式noteにこれまでのアーカイブを蓄積してます。https://note.com/honnoren/
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コメント
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2025-09-09
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2025-09-04
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2025-09-02
百合の葉にぬらぬらした不審物がくっついていたら見過ごすべからず。
ヒトが繋げた植物のその先を、人知れずこっそり繋げ足している小さな命。その正体は、自らの排泄物を背負って育つユリクビナガハムシの幼虫です。