私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

卒門式は感情が感染する。
「何が起こるかわからない、生き物みたいな編集学校」と涙する圓尾に、本楼にいる律師八田はもらい泣き。
「断乎として教室名を然らしめる稽古ぶりを誇りに思う」と備長炭のような教室を凛と語る稲垣には、集う師範代が大きくうなずいた。
卒門式は、半年のありったけの思いを90秒で発露する師範代の晴れの場だ。そんな舞台に、学衆が見立てた衣装で身を包んだのは堀田。和製メン・イン・ブラックとばかりに、作務衣にネイルからイヤーカフまですべて、黒い染め上げたユニークな出で立ちもあった。師範三國は、堀田を「学衆さんに編集してもらった」と拍手を送り、稲垣は学衆に「私を師範代にしてくれてありがとう」と相互編集に礼を述べた。
第77回感門之盟「DAN ZEN イシス」で、47[守]を終えた師範代21名に「先達文庫」が授与された。編集学校では一期を全うした師範代に、松岡校長が自ら本を選んで贈る。師範が師範代をねぎらう感門表を授与し、先達文庫を託された鈴木康代学匠と大武美和子輪匠が、師範代を称えながら一冊一冊手渡していく。
▲粋な出で立ちで小気味よく本の紹介をする大武と、楽しみに待つ長島。
◆桑田惇平師範代(極性アンバンドル教室)
『よくわかるメタファー』(瀬戸賢一/ちくま学芸文庫)
◆稲垣景子師範代(オブザぶとん教室)
『海を見たことがなかった少年』(ル・クレジオ/集英社文庫)
◆真武信一師範代(混合ポリローグ教室(速修))
『折口信夫伝』(岡野弘彦/ちくま学芸文庫)
◆堀田幸義師範代(セッケン時空屋教室)
『折りたたみ北京―現代中国SFアンソロジー』(ケン・リュウ=編/ハヤカワ文庫)
◆佐藤健太郎師範代(「象」徴ドミトリー教室)
『世界の半分を怒らせる』(押井守/幻冬舎文庫)
◆西宮牧人師範代(カンテ・ホンド教室)
『ベンヤミン 破壊・収集・記憶』(三島憲一/岩波現代文庫)
◆下田富美子師範代(本達ビードロ教室)
『図書館の興亡』(マシュー・バトルズ/草思社文庫)
◆阿久津健師範代(そこそこノンブル教室(速修))
『眼の冒険―デザインの道具箱』(松田行正/ちくま文庫)
◆赤木美子師範代(近々ワンダー教室)
『家と庭と犬とねこ』(石井桃子/角川文庫)
◆新井和奈師範代(アイドル・ママ教室)
『妹たちへ』(矢川澄子/ちくま文庫)
◆圓尾友理師範代(妖精アスリート教室)
『幻獣の話』(池内紀/講談社学術文庫)
佐藤は、4ヶ月の道のりをイスラエル・ネゲヴ砂漠でのマラソン大会にたとえ、番匠景山は「編集は世界とつながってこそ意味がある。みなさんの言葉で世界は豊かになる」と編集の足を止めぬよう激励。
校長松岡は、イシスネオンを背負ってすべてを見つめる。「いいぞー」と大向うから声がかかるなか、師範代は泣き笑いの挨拶を終えた。手渡された先達文庫には、一人ひとりに向けて松岡直筆のメッセージがしたためられている。それを読み、彼らは再度涙する。
ご卒門された皆様、おめでとうございました。
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
イシス編集学校で予定されている毎月の活動をご案内する短信「イシスDO-SAY(ドウ-セイ)」。 梅雨があけた地域も出てきました、いよいよ日本列島に夏到来ですね!イシス編集学校でも熱い夏が始まります。7月のス […]
編集部が選ぶ2025年5月に公開した注目のイチオシ記事9選+α
公開されるエディスト記事は、毎月30本以上!エディスト編集部メンバー&ゲスト選者たちが厳選した、注目の”推しキジ” をお届けしています。見逃した方はぜひこちらの記事でキャッチアップを。 今回は、2025年5月に公開さ […]
田中優子の酒上夕書斎|第二夕『S/Z バルザック『サラジーヌ』の構造分析』ロラン・バルト(2025年6月24日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語 […]
イシス編集学校のアドバイザリー・ボード「ISIS co-mission」(イシス・コミッション)に名を連ねる9名のコミッション・メンバーたちが、いつどこで何をするのか、編集的活動、耳寄りニュースなど、予定されている動静を […]
田中優子の酒上夕書斎|第一夕『普賢』石川淳(2025年5月27日)
学長 田中優子が一冊の本をナビゲートするYouTube LIVE番組「酒上夕書斎(さけのうえのゆうしょさい」。書物に囲まれた空間で、毎月月末火曜日の夕方に、大好きなワインを片手に自身の読書遍歴を交えながら語 […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。