発掘!「アフォーダンス」――当期師範の過去記事レビュー#02

2025/05/26(月)07:59
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 2019年夏に誕生したwebメディア[遊刊エディスト]の記事は、すでに3800本を超えました。新しいニュースが連打される反面、過去の良記事が埋もれてしまっています。そこでイシス編集学校の目利きである当期講座の師範が、テーマに即した必読記事を発掘&レビューし、みなさんにお届けします。

 2回目は、イシス編集学校が大事にする編集の方法、「アフォーダンス」発掘!


松岡校長の編集力を病理医が解剖す

白川雅敏 54[破]番匠の発掘!

おしゃべり病理医 編集ノート - ツッカムにみる松岡正剛の対談編集力

 お題が届けばうずうずする。学衆から回答が届けば指南したくなる。松岡校長がアフォーダンスをたっぷり仕込んだ編集稽古の不思議である。では、校長はいったいどのような仕掛けを施したのか? 現役の病理医でもある小倉加奈子析匠が書いたこの記事が、ヒントを与えてくれるかもしれない。「おぐらの発言はつまらない」。析匠が校長から面と向かって言われたその会に私は居合わせた。私ならガックリ肩を落としそうなダメ出しに析匠は、「リベンジを!」とそれは楽し気に校長の問いをチェースしてみせた。見事リベンジを果たせた・・・かどうかは記事をお読みいただくとして、そう、とびきりのアフォーダンスは面白くなくっちゃね!

物語に出会いたい!

福澤美穂子 55[守]師範の発掘!

【物語編集力シリーズ】物語づくりの「作用」と「報酬」は、[遊]物語講座にある!

「書いたものと書きたいものとの間のギャップをひとりでは埋めることができない」と作家王城夕紀は言う。だから「他者が欲しくなる」。物語講座の赤羽卓美綴師によるインタビューで、創作過程の心境、物語の効用、そして物語講座の威力がさらりと明かされた。[守][破]以上にお題にアフォードされるのが物語講座だ。お題に沿って編集力を総動員していくと、思いがけない物語が生まれる。生みの苦しみはあるが、自分がからっぽになって、物語に書かされる。「作用」や「報酬」に加えて、物語を書き上げるうえで最大のアフォーダンスを与えてくれるのは師範代だ。これから生まれる物語に出会いたくなる記事である。

目の前にさまざまな「モノ」!?

平野しのぶ 43[花]花目付の発掘!
木こりが手にした「5つのカメラ」――木田俊樹のISIS wave

 冒頭から「木こり」の文字に引き込まれる。さらに「森」や「山」のうごめき、広大なスケールと微細な変化。感知と蝕知のはざまに、日没で時を知る。アンプラグドな日常に羨望の眼差しを向けたい読者は少なくないはず。そんなタガが外れるような感覚を享受したい。記事の真骨頂は、身体ごとアフォードされる擬似感覚と新しい意味に出逢うたび、私は「生まれなおしている」と先駆的に言い放ったソンタグからの一説に昇華させたこと、これがまたニクイ。木田さんはアフォーダンスの強い環境にいるのか、そもそもアフォーダンス力が強いのか。思うに林道も獣道も芽吹きも雨天も「問い」なのだろう。それを感知できる「心地よい環境」に身を置くこと――そこに感度のヒミツがありそうだ。

 

 アフォーダンスはいろいろなものにひそんでいます。ペンを持とうと思うと、手は自然にその形になりますが、これがアフォーダンスです。例えばスイッチには「押す」というアフォーダンスがあり、椅子にアフォードされることが座るという行為なのです。「わたし」という主語から離れて、世界と自分との関係を捉え直すことができる方法、と言い換えることもできるでしょう。
 さてみなさんは、3人の師範の文章のどこにアフォードされましたか?

アイキャッチ/阿久津健(55[守]師範)
編集/角山祥道(43[花]錬成師範)

◎バックナンバー◎
発掘!「めぶき」――当期師範の過去記事レビュー#01

  • イシス編集学校 [花伝]チーム

    編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。