マンガに限った話ではないが、「バカ」をめでる文化というものがある。
猪突猛進型の「バカ」が暴走するマンガといえば、この作品。市川マサ「バカビリーバー」。とにかく、あまりにもバカすぎて爽快。
https://yanmaga.jp/comics/
2019年夏に誕生したwebメディア[遊刊エディスト]の記事は、すでに3800本を超えました。新しいニュースが連打される反面、過去の良記事が埋もれてしまっています。そこでイシス編集学校の目利きである当期講座の師範が、テーマに即した必読記事を発掘&レビューし、みなさんにお届けします。
2回目は、イシス編集学校が大事にする編集の方法、「アフォーダンス」で発掘!
白川雅敏 54[破]番匠の発掘!
■おしゃべり病理医 編集ノート - ツッカムにみる松岡正剛の対談編集力
お題が届けばうずうずする。学衆から回答が届けば指南したくなる。松岡校長がアフォーダンスをたっぷり仕込んだ編集稽古の不思議である。では、校長はいったいどのような仕掛けを施したのか? 現役の病理医でもある小倉加奈子析匠が書いたこの記事が、ヒントを与えてくれるかもしれない。「おぐらの発言はつまらない」。析匠が校長から面と向かって言われたその会に私は居合わせた。私ならガックリ肩を落としそうなダメ出しに析匠は、「リベンジを!」とそれは楽し気に校長の問いをチェースしてみせた。見事リベンジを果たせた・・・かどうかは記事をお読みいただくとして、そう、とびきりのアフォーダンスは面白くなくっちゃね!
福澤美穂子 55[守]師範の発掘!
■【物語編集力シリーズ】物語づくりの「作用」と「報酬」は、[遊]物語講座にある!
「書いたものと書きたいものとの間のギャップをひとりでは埋めることができない」と作家王城夕紀は言う。だから「他者が欲しくなる」。物語講座の赤羽卓美綴師によるインタビューで、創作過程の心境、物語の効用、そして物語講座の威力がさらりと明かされた。[守][破]以上にお題にアフォードされるのが物語講座だ。お題に沿って編集力を総動員していくと、思いがけない物語が生まれる。生みの苦しみはあるが、自分がからっぽになって、物語に書かされる。「作用」や「報酬」に加えて、物語を書き上げるうえで最大のアフォーダンスを与えてくれるのは師範代だ。これから生まれる物語に出会いたくなる記事である。
平野しのぶ 43[花]花目付の発掘!
■木こりが手にした「5つのカメラ」――木田俊樹のISIS wave
冒頭から「木こり」の文字に引き込まれる。さらに「森」や「山」のうごめき、広大なスケールと微細な変化。感知と蝕知のはざまに、日没で時を知る。アンプラグドな日常に羨望の眼差しを向けたい読者は少なくないはず。そんなタガが外れるような感覚を享受したい。記事の真骨頂は、身体ごとアフォードされる擬似感覚と新しい意味に出逢うたび、私は「生まれなおしている」と先駆的に言い放ったソンタグからの一説に昇華させたこと、これがまたニクイ。木田さんはアフォーダンスの強い環境にいるのか、そもそもアフォーダンス力が強いのか。思うに林道も獣道も芽吹きも雨天も「問い」なのだろう。それを感知できる「心地よい環境」に身を置くこと――そこに感度のヒミツがありそうだ。
アフォーダンスはいろいろなものにひそんでいます。ペンを持とうと思うと、手は自然にその形になりますが、これがアフォーダンスです。例えばスイッチには「押す」というアフォーダンスがあり、椅子にアフォードされることが座るという行為なのです。「わたし」という主語から離れて、世界と自分との関係を捉え直すことができる方法、と言い換えることもできるでしょう。
さてみなさんは、3人の師範の文章のどこにアフォードされましたか?
アイキャッチ/阿久津健(55[守]師範)
編集/角山祥道(43[花]錬成師範)
◎バックナンバー◎
発掘!「めぶき」――当期師範の過去記事レビュー#01
イシス編集学校 [花伝]チーム
編集的先達:世阿弥。花伝所の指導陣は更新し続ける編集的挑戦者。方法日本をベースに「師範代(編集コーチ)になる」へと入伝生を導く。指導はすこぶる手厚く、行きつ戻りつ重層的に編集をかけ合う。さしかかりすべては花伝の奥義となる。所長、花目付、花伝師範、錬成師範で構成されるコレクティブブレインのチーム。
「乱世こそ花伝所」。松岡正剛校長の言葉を引用し、花目付の林朝恵が熱く口火をきる。44[花]の問答条々、式目の編集工学講義は花伝所をけん引するツインターボ、林・平野の両花目付のクロストーク形式で行われた。2025年10月2 […]
「5つの編集方針を作るのに、どんな方法を使いましたか?」。遊撃師範の吉井優子がキリリとした声で問いかける。ハッと息を飲む声がする。本楼の空気がピリリとする。 ▲松岡校長の書いた「花伝所」の前でマイクを握る吉井師範 &n […]
先人は、木と目とを組み合わせて「相」とした。木と目の間に関係が生れると「あい(相)」になり、見る者がその木に心を寄せると「そう(想)」となる。千夜千冊を読んで自分の想いを馳せるというのは、松岡校長と自分の「相」を交換し続 […]
【書評】『アナーキスト人類学のための断章』×4× REVIEWS 花伝所 Special
松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を数名で分割し、それぞれで読み解くシリーズです。今回は、9月に行われ […]
3000を超える記事の中から、イシス編集学校の目利きである当期の師範が「宝物」を発掘し、みなさんにお届けする過去記事レビュー。今回は、編集学校の根幹をなす方法「アナロジー」で発掘! この秋[離]に進む、4人の花伝錬成師 […]
コメント
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2025-11-27
マンガに限った話ではないが、「バカ」をめでる文化というものがある。
猪突猛進型の「バカ」が暴走するマンガといえば、この作品。市川マサ「バカビリーバー」。とにかく、あまりにもバカすぎて爽快。
https://yanmaga.jp/comics/
2025-11-25
道ばた咲く小さな花に歩み寄り、顔を近づけてじっくり観察すると、そこにはたいてい、もっと小さな命がきらめいている。この真っ赤な小粒ちゃんたちは、カベアナタカラダニ。花粉を食べて暮らす平和なヴィランです。
2025-11-18
自ら編み上げた携帯巣の中で暮らすツマグロフトメイガの幼虫。時おり顔を覗かせてはコナラの葉を齧る。共に学び合う同志もなく、拠り所となる編み図もなく、己の排泄物のみを材料にして小さな虫の一生を紡いでいく。