私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

「らしさ」は守の主題だけに、本気でむつかしい。かつて伯楽と呼ばれた師範は語った。
この「らしさ」に真っ向勝負を挑んだのは、48[守]平時有事教室師範代、石黒好美である。
ターゲットは12月12日の汁講。開講してから3週間で交わしたテキストだけを手がかりに、学衆の似顔絵を描くというのだ。
汁講当日は参加者にカメラオフでZoomに入るというルールを課した。似顔絵をお披露目したのちにカメラオン。画面上で「ほんと」と「つもり」が並ぶ演出も万全だ。
「Tさんは、ちゃんとした高田純次だと思うんですよね~」との前振りで似顔絵を投影する石黒。現れたTさんはこの通り。
この日に似顔絵を用意した理由を石黒は語る。「『コンテンツの秘密』という本に、アニメのキャラクターは、人間のアタマの中にいる人や動物を模倣していると書かれていました。だったら顔を見なくても似顔絵は描けるはずだと試してみたんです。カブキのお題で稽古した“らしさ(略図的原型)”は、物事の本質に一気に到達する力を持っています」。似顔絵は本質に到達できたのか。汁講で発せられた学衆の言葉と並べてみよう。
石黒「Aさんの回答はキラキラしている」
Aさん「日々のお題をみて、調べることが当たり前になった。何かが起こった時に流さないようになってきた」
石黒「毎日お仕事頑張っている男子」
Mさん「週末まとめての回答になりがちだけど、毎日続ける方法を見つけたい」
石黒「Nさんは絶対クールビューティー」
Nさん「夜型なので、寝る前にお題を見て、朝から考え、翌日の夜には回答を返せます」
石黒「自信あったんだけど、似てない?おかしいなぁ」
Yさん「創造的な人は意味の遠いものを組み合わせるのが得意なんです」
石黒「師範代以上に教室を見てくれています」
Sさん「師範代が常に動いていて、具体的な糸口をすぐにもらえ、稽古のペースが保ててます」
参加者からは「ホントにキラキラだ!」「メガネはないけど感じ出てる」「内面はこうかも」などの声が挙がった。
速修コースは用法3に入った。「不足もきっちり伝える師範代になる」と宣言した石黒の指南と「らしさ」の力を目撃した学衆の回答がアナロジカルウェイで響きあう。
石井梨香
編集的先達:須賀敦子。懐の深い包容力で、師範としては学匠を、九天玄氣組舵星連としては組長をサポートし続ける。子ども編集学校の師範代もつとめる律義なファンタジスト。趣味は三味線と街の探索。
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コメント
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2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。