遊刊エディストが変わろうとしている。創刊から4年たったいまでも、イシス編集学校にはまだスクープされていない「事件」がある。この現場に潜入し、記事として届けたい。弥生某日、エディスト編集部・上杉公志の声かけにより、その願いに共鳴する6名の腕利き師範代が集結した。この記事は、キックオフミーティングで行われた特別レクチャーの記録である。
ライティングの武器は、自信の無さだった!
SNSが賑わって、安易な文章でライターや作家気分を味わうことができるようになった。エモい画像にハッシュタグをつけてUPすれば、バズることだって簡単だ。しかし、読みごたえのある文章にはなかなか出会わない。イシス編集学校では、イベントのたびに、百戦錬磨のライターが疾風のごときスピードで遊刊エディストに記事をUPしていく。そのスピードと文章の質の高さは、創文の匠の揃うイシスの中でも格別だ。
イシスのJUST記者は、文章を読ませる何かを持っている。大きな期待を胸に、エディストライター梅澤のJUSTライターzoom講座に、新人ライターの一人として参加した。
読み手はいつだって気まぐれな猫のようなものだ。好奇心旺盛な猫の気を引くために、魅惑的なワード、センテンスを掲げておかなければならない。エディストの記事は、言葉が練り上げられている。パッと記事をみた瞬間に、読み手はオヤっと注意のカーソルを向けることになる。梅澤が公開したライティングのとっておきのコツは「自信のなさ」だった。「誰もわたしに興味がないよね」「文章に自信がない」という不足への自覚が、では、どうしよう。どうしたら読んでくれるだろうと、言葉を選び、文章の技を磨くことにつながるからだ。
この日、伝授されたライティングのコツは3つある。
1、甘えを捨てよ、読者を決めよ
読み手を誰に想定するのか。
いつもの仲間にだけ、わかるように語りかけるのではなく、イシスをまったく知らないけれど、ちょっと興味を持ってくれそうな人を仮想読者にして書く。梅澤は、イシス未体験の大学時代からの友だち・さえちゃんが読んだらどう感じるか、楽しんでもらえるか?を考えているという。遊刊エディストはイシス編集学校のメディアではあるが、伝わるだろうという甘えを捨てることが第一歩だ。
2、<地>ソトを見よ
ソトを見るとは、社会と繋いで書くと言うことだ。どんな状況の中で何が起こっているのか。置かれた環境によって、物事は黒にも白にも変わる。イシス編集学校の基本のコース[守]には、有名なお題がある。
お題001番「コップは何に使える?」というものだ。コップは食器だが、置かれた場所によって、楽器にも植物を育てる容器にもなる。ライティングだって同じことだ。対象を際立たせるために、背景である社会と繋ぐことを梅澤は強調した。
3、<図>ナカを掘れ
そして最後、三つ目のコツは、「取材をして、ひと掘りして書く」事。イベントの出来事をそのまま書いたら、ただ議事録になってしまう。イシス編集学校の全ての場は一座建立。亭主の心尽くしが客の心を満たす。その場にいる記者だからこそ書けることを深掘りしていく。すれ違いざまのちょっとしたおしゃべりから、文章が広がることだってある。
「基本的に知文術で記事を書いています」梅澤は言う。
イシス編集学校には、読むこと、書くことの格別が詰まっている。それを学校の中だけに留めてしまうのは、もったいない。遊刊エディストをチラリとでも見た人の、そっぽを向いたカーソルをぐいっと引き寄せるようにJUSTライターは文章を練り上げる。
北條玲子
編集的先達:池澤祐子師範。没頭こそが生きがい。没入こそが本懐。書道、ヨガを経て、タンゴを愛する情熱の師範代。柔らかくて動じない受容力の編集ファンタジスタでもある。レコードプレイヤーを購入し、SP盤沼にダイブ中。
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