関東甲信地方が平年より1日遅く梅雨入りしたこの日。
オンラインで開催されたイシス編集学校の学校説明会には、平日の夜にも関わらず、6人の参加者が集った。
編集学校のMr.オネスティ、iGen7人衆の一人であり、音楽家としての顔も持つ師範代・上杉公志の誠実さがオンラインの画面越しからもにじみ出る学校説明会が、梅雨の雨も感じさせぬ爽やかさで始まった。
「編集ってなんでしょうか?」
その問いに、参加者からは「素材がたくさんあって組み合わせを考えること」「情報を整理してアウトプットすること」といった回答が出される。
編集学校の教科書とも言える『知の編集術』の「はじめに」には、「編集」とはなにかが触れられている。
この部分を参加者同士で朗読し合いながら、最後に書かれた言葉に上杉は触れた。
「編集は冒険である」
言葉を発することも冒険であり、編集である。
「ためらいを含め、いろんな気持ちをなげうって共有していただきたい」とおだやかに伝える姿に、参加者の緊張は少しづつほどけていく。
場が温まったところで、編集術を使ったちょっと変わった自己紹介ワークが始まった。
この日、ビデオオンでの参加者は1名のみ。対面と違い、オンラインのやり取りでは、参加者の思っていることや雰囲気を感じにくいと言われるが、ビデオがなければ、表情も視線も読み取ることができない。ワークショップを進める上では難しい状況に思われるが、参加者も事情あってのビデオオフであろう。焦ることもなく、いまある情報で十分にこの場を編集できることを、身をもって示していく。どんな音も聞き逃さない音楽家さながら、ビデオオフの先の参加者を見つめ、その回答から連想を広げ、少しだけ明かされた情報と照合し、仕事への姿勢に関係づけて、その人となりを紐解いていった。
自分の情報が初対面のナビゲーターによって明かされていくことは、参加者にとっても強く印象に残ったに違いない。
編集学校の基本コース【守】で学ぶ編集術の一端に触れ、実際にどんなふうに進めるかの概略を聞いたあとは、いよいよ質疑応答タイムである。
これまでのやり取りの中ですっかり心を預けた参加者たちから、稽古の実際についての質問が続々と出される。
その質問に対し、疑問や不安の背景も捉えながら回答をつなげていった。
校長・松岡正剛の「自ら情報を切り拓き、自信を取り戻すことが生活にも仕事にも必要」というメッセージに心を動かされたという参加者には、「イシス編集学校のイシスはInteractive System of Inter Scoresのイニシャルを並べたものだが、再生の女神イシスとも掛けている。イシス編集学校で再生するのは一人ひとりの編集力。意識的に編集を使うことで、例えばある業界の特定のルールや正解型・コンプラ型の社会などに縛られ、萎縮してしまった編集力を再生していく。そうして自由な情報編集に向かうことが自信を取り戻していくことに繋がるのではないか」と語りかけた。
再生の冒険の旅のスタートに立った参加者たち。
穏やかに見守る上杉師範代のまなざしは、このさきのイシス編集学校での再会を楽しみにしているようだった。
アイキャッチ画像・写真:福井千裕
イシス編集学校説明会
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東京・世田谷区豪徳寺の本楼を訪問しての対面説明会と、Zoomを使ったONLINE説明会を用意しています。
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イシス編集学校のワークショップエディタ―が誘う編集の冒険へと出かけましょう。
米田奈穂
編集的先達:穂村弘。滋賀県長浜出身で、伝統芸能を愛する大学図書館司書。教室名の「あやつり近江」は文楽と郷土からとられた。ワークショップの構成力に持ち前の論理構築力を発揮する。
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