松岡正剛校長の誕生日から一夜明けた1月26日。前日の42[花]敢談儀の残り香を味わいながらの開催となったのは輪読座『古事記』『日本書紀』両読み第四輪である。
輪読座の冒頭は恒例、前回の座を受けた宿題図象化の共有だ。仁徳天皇は聡明で大坂の治水事業に邁進し、聖帝といわれた天皇である一方、好色な面があるエピソードを第三輪では輪読していた。その内容をうけてT座衆は「モスラと『古事記』」の類似にカーソルを動かし、図象化してくれた。
––モスラと『記紀』
モスラと「記紀」の対比とは聞いた瞬間から興味深い。いったいどういうことなのだろう。T座衆はいくつかの観点から2者の対比にトライしている。
–その1.どちらも「外」からやってくる
モスラは海上からあらわれ、記紀も天から降りてくる。
記紀は当時の倭国の外へ意識が向いているものでもある。
–その2.どちらも「ヒメ」がキーになる
モスラには、島の守り神モスラを敬う小美人
記紀は三色の寄虫を愛でるイワノヒメノミコト
–その3.どちらも「歌」で投げかける
モスラは囚われの身の窮地を歌で伝え、記紀は嫉妬心や慕う気持ちを歌にあらわす。
–その4.どちらも「蚕」で繋がれる
モスラでは、蚕が成虫となって飛翔するモスラに救われる。
記紀では、蚕が天皇と皇后の和睦のきっかけになる。
<『モスラ』あらすじ>
南太平洋に位置する架空の島「インファント島」で原子力実験が行われたことをきっかけに、島の調査隊が派遣されます。調査隊はそこで「小美人」と呼ばれる身長30センチほどの双子の妖精に出会います。彼女たちは島の守護神である巨大な蛾の怪獣「モスラ」を崇めています。
しかし、調査隊の一員である悪徳興行師ネルソンは、小美人を捕らえて日本に連れ帰り、見世物として利用します。これにより、モスラは小美人を救うために卵から孵化し、幼虫の姿で海を渡り日本へと向かいます。
東京では、モスラが繭を作り成虫となり、破壊を繰り広げます。一方で、小美人を救い出した調査隊の仲間たちは、モスラを鎮めるために島の儀式の歌「モスラの歌」を歌い、モスラを島へと帰還させることに成功します。
chatGPTより
T座衆は「神話的な神秘的な話から徐々に大陸から科学や技術を輸入するようになる中で、テクノロジーの不思議さの一例として、蚕の糸を紡ぐ不思議さに置き換えたのではないか」「天皇も最初の方は威厳があって超人的だったが、人間的な行いが出てくる。絶対的なところから、ツッコミをいれられるような存在になってきているように感じた。」と重ねてくれた。
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『古事記』とモスラにそんな風に共通項が見いだせるとは思っていなかったが「歌」の力には、今も古も通じるところがあることを感じている。『古事記』『日本書紀』を合わせ読み、『三国史記』まで重ねていく輪読座も残すところあと2回。過去実施分のアーカイブ映像配信もあるので、いつでも扉をノックしてみてほしい。
宮原由紀
編集的先達:持統天皇。クールなビジネスウーマン&ボーイッシュなシンデレラレディ&クールな熱情を秘める戦略デザイナー。13離で典離のあと、イベント裏方&輪読娘へと目まぐるしく転身。研ぎ澄まされた五感を武器に軽やかにコーチング道に邁進中。
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