近江ARS ―― その姿が、いよいよTOKYOでお披露目される。
滋賀県大津市のびわ湖ホールで開催された近江ARSキックオフ「染め替えて近江大事」から2年強。近江ARS TOKYOは「別日本があったって、いい。」と銘打ち、2024年4月29日、東京赤坂の草月ホールで開催された。チケットは3階席まで全席完売。出演者15名、スタッフは約100名。近江ARSメンバーは心尽くしのもてなしで客を迎え、松岡正剛は全身全霊で舞台に立つ。
本番に向かうまでの前日と当日のリハでのシーンを切り取り、裏舞台の様子を10shotでお届けします。
4月28日(日)前日リハ
午後3時から始まった舞台リハ。客席からディレクションをする松岡。出演者のパフォーマンス、裏方スタッフの動向まで、細部を徹底的に仕上げていく。
役目はディレクターのみならず。自身の出番に備えて、手書きのレジュメに何度も目を通し、舞台の片隅で準備をする。
出演者の一人であるドラァグクイーンのドリアン・ロロブリジーダさん。歌声が会場に響くと、その場にいる全員の気持ちが舞台に引き寄せられる。ピアノ伴奏は上杉公志がつとめる。
意外な選曲で松岡を驚かせたのは本城秀太郎さん(三味線演奏家・作曲家/中央)と本城秀慈郎さん(三味線演奏家/左)。三味線糸で作られた琴屏風が舞台をさらに演出する。
福家俊彦(天台寺門宗・総本山三井寺長吏/左)は松岡とともに近江ARS TOKYOの全体監修を担う。スペシャル仏教トークコーナーの仕切りに向けて台本を読み込む。
24年前、松岡との初仕事も草月ホールだったことを冒頭挨拶で明かした近江ARSプロデューサー和泉佳奈子(百間)。「ついに松岡さんが動いたんです」万感の思いを込めたスピーチで近江ARSの成り立ちを語る。
5時間を超える舞台リハを終え、帰路に着いたのは午後10時半。いよいよ明日本番を迎える。
バロック的な多焦点の黒球がカバーを飾る新刊『[近江ARSいないいないばあBOOK]別日本で、いい。』(春秋社)もお披露目となり、ロビーで客を迎え入れる。
同じくロビーではスタッフが集い、段取りを指差し確認。裏方統括を担うのは、近江ARSメンバーでもある[守]番匠 阿曽祐子である。
会場を彩るのは書籍のみならず。近江ARSメンバー 芝田冬樹(叶 匠壽庵)は、「本の傘」と名付けられた和傘を控える。龍門節会に集ったメンバーによる格別の一冊が何かの決意表明のように記されている。
最終舞台リハを終えた松岡が向かった先は、地下駐車場。社用車の後部座席で手書きレジュメを手に、自身の語りを入念に練習する。長浜出身の父について語っているのが遠くで聞こえた。
いよいよ本番直前。Yohji Yamamotoの衣装に着替え、黒革のハイカットブーツでブーツストラップする。前身頃には「私に刀をくださいな。」の文字。Yohjiの衣装が松岡にとっての刀になる。
午後1時30分。開演ブザーが鳴り、近江ARS TOKYOがはじまる。松岡の第一声は「ノスタルジア」。そのキーワードは手書きレジュメに太字で書かれていた。
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4月29日「近江ARS TOKYO」 @草月ホール(赤坂・東京)
「別日本があったって、いい。――仏はどこに、おわします?」と銘打ったこの会は、ドラァグクイーンから僧侶まで、茶人から職人まで、各界のスペシャリスト
にご登場いただき「別様の日本」を交わし合いました。会場では近江ARSメンバーが懸命のもてなしで来場者を迎えました。
◎出演|
松岡正剛、福家俊彦、末木文美士 、本條秀太郎、田中優子、小堀宗実、ドリアン・ ロロブリジーダ、稻田宗哉、加藤巍山、佐藤弘夫、挾土秀平、佐藤 優、米澤 泉、鷲尾龍華、樂 直入、和泉佳奈子、小堀宗翔、本條秀慈郎、森山未來 (映像出演)
◎主催|近江ARS
◎プロデュース|百間
◎後援|滋賀県
◎企画|HYAKKEN、EDITHON
◎空間|中村碧
◎デザイン|佐伯亮介
◎編集|広本旅人
◎映像|MESS
◎中継|横谷賢一郎
◎伴奏|上杉公志
◎進行|ポマト・プロ、三浦ニュールーム
◎照明|MGS照明設計事務所
◎菓子|叶 匠壽庵
◎酒 |冨田酒造
◎珈琲|CROWD ROASTER
◎室礼|三井寺、石山寺、六角屋、丸三ハシモト
◎表方|長浜まちづくり
◎裏方|中山倉庫、中山事務所
後藤由加里
編集的先達:石内都
NARASIA、DONDENといったプロジェクト、イシスでは師範に感門司会と多岐に渡って活躍する編集プレイヤー。フレディー・マーキュリーを愛し、編集学校のグレタ・ガルボを目指す。倶楽部撮家として、ISIS編集学校Instagram(@isis_editschool)更新中!
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