超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。

松岡正剛いわく《読書はコラボレーション》。読書は著者との対話でもあり、読み手同士で読みを重ねあってもいい。これを具現化する新しい書評スタイル――1冊の本を3分割し、3人それぞれで読み解く「3× REVIEWS」。
今回は、ビジネスパーソンにも人気の、歴史学者ユヴァル・ノア・ハラリの最新刊『NEXUS 情報の人類史』(河出書房新社)を取り上げます。推薦者は、チーム渦のメンバー・柳瀬浩之さん。「虚構を作り出した人間は、人間至上主義からデータ至上主義へ向かっていると喝破したハラリ氏。氏の今回の相手は、編集学校にとっての本丸、“情報”です」。
他講座からのゲストも迎え、まずは上巻からヨミトキます。
●●●『NEXUS 情報の人類史 上――人間のネットワーク』×3× REVIEWS
●1 人の歴史は情報をめぐる物語だった
プロローグ
第1章 情報とは何か?
上下合わせて600ページ超になる本作。第Ⅰ部第1章は「情報とは何か?」という問いで始まる。答えるためには、人類が情報をどう扱ってきたかを知らねばならない。
●2 誤りを認めて修正できるか否か
第3章 文書──紙というトラの一嚙み
第4章 誤り──不可謬という幻想
情報は人を動かす大きな力となりえるが、諸刃の刃ともなる。悪しき物語に対抗したのは、「誤り」に関わる科学の仕組みだ。
●3 AIがルールの変革を迫る
第5章 決定──民主主義と全体主義の概史
物語も自己修正メカニズムも万能ではない。加速する情報化社会の中で人類は溺れかけている。いま、ルールのどこを動かすべきか。
『NEXUS 情報の人類史 上――人間のネットワーク』
ユヴァル・ノア・ハラリ著/柴田裕之訳/河出書房新社/上下各2200円(税込み)◆上巻目次
プロローグ
情報の素朴な見方/グーグルvs.ゲーテ/情報を武器化する/今後の道筋第I部 人間のネットワーク
第1章 情報とは何か?
真実とは何か?/情報が果たす役割/人間の歴史における情報第2章 物語──無限のつながり
共同主観的現実/物語の力/高貴な嘘/永続的なジレンマ第3章 文書──紙というトラの一嚙み
貸付契約を殺す/文書検索と官僚制/官僚制と真実の探求/地下世界/生物学のドラマ/法律家どもを皆殺しにしよう/聖なる文書第4章 誤り──不可謬という幻想
人間の介在を排除する/不可謬のテクノロジー/ヘブライ語聖書の編纂/制度の逆襲/分裂した聖書/エコーチェンバー/印刷と科学と魔女/魔女狩り産業/無知の発見/自己修正メカニズム/DSMと聖書/出版か死か/自己修正の限界第5章 決定──民主主義と全体主義の概史
多数派による独裁制?/多数派vs.真実/ポピュリズムによる攻撃/社会の民主度を測る/石器時代の民主社会/カエサルを大統領に!/マスメディアがマスデモクラシーを可能にする/二〇世紀──大衆民主主義のみならず大衆全体主義も/全体主義の概史/スパルタと秦/全体主義の三つ組/完全なる統制/クラーク狩り/ソ連という一つの幸せな大家族/党と教会/情報はどのように流れるか/完璧な人はいない/テクノロジーの振り子
■著者Profile
ユヴァル・ノア・ハラリ( Yuval Noah Harar)
1976年生まれ。イスラエルの歴史学者。ヘブライ大学歴史学部教授。石器時代から21世紀までの人類の歴史を概観する著書『サピエンス全史』(2011年)は、2014年に英訳、2016年に日本語訳されるなど、あわせて50か国以上で出版されベストセラーとなった。フェイスブックの創始者ザッカーバーグは、同書を「人類文明の壮大な歴史物語」と評した。オバマやビル・ゲイツも同書の愛読者と言われる。巨大AIに関しては一貫して警鐘を鳴らし続けている。
●●●ハラリの捉える「情報」の姿が見えてきたところで、怒濤の「下巻」へと続きます。
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
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コメント
1~3件/3件
2025-08-12
超大型巨人に変態したり、背中に千夜をしょってみたり、菩薩になってアルカイックスマイルを決めてみたり。
たくさんのあなたが一千万の涼風になって吹きわたる。お釈迦さまやプラトンや、世阿弥たちと肩組みながら。
2025-08-07
「べらぼう」見てないんですが、田沼意知がとうとうやられちゃったんですね。
風評に潰された親子のエピソードは現代の世相とも重なり、なんとも胸がふさがります。
一ノ関圭『鼻紙写楽』は、このあたりの話を巧みに取り込んで物語化しており秀逸。蔦重も出てくるし、この作品、「べらぼう」とだいぶ重なるんじゃないかなあ(見てないけど)。
2025-08-05
幼な心の不足を感じたら、昆虫の世界に分け入ってみるのがお勧め。そこには、小粋な読み替えや愉快な見立てを促すツワモノがひしめいている。
写真は、都市郊外でも見つかる巨大イモムシ、シンジュサンの幼虫のお尻。