私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

Zoom画面に「風月盆をどり教室 謹賀新年汁講」の文字が浮かび上がる。第2回番ボー〆切直前、学衆たちを月夜の別世界に連れ出す汁講が開かれた。普段テキストでやり取りする学衆・師範代たちが初めて顔を合わせる。冒頭、学衆・山口ひかりの明るいイントネーションが「関西在住」という属性を実感に変えた。
今回のテーマは「言葉拾い」。最初のお題は「本」と「わたし」をインタースコアした自己紹介だ。気になった言葉を拾って質問しあうと、盆踊りの輪に参加したように学衆たちの顔も和らぐ。
学衆の一人、柳瀬浩之は『日本という方法』(松岡正剛)と自身を重ねて「日本人らしいビジネススキルを考えていきたい」と話した。学衆・田中志穂が「”日本人”を意識するようになったきっかけは?」と問いかける。柳瀬が少し考えてから、「西洋の方法と自分のやりたい方法との間にある矛盾に気づいたとき」と答える。互いの言葉を拾いあうことで新たな言葉が場に飛び出してくる。
次は、ミメロギアのお題「偶然・必然」のワークだ。最初の「連想ワーク」では、辞書を使った「偶然・必然」の言い換えで、意味のシソーラスを広げていく。学衆・坪井有香は、「必然」を「宿命」から「火を見るより明らか」まで言い換えた。さらに、持ち寄った本と千夜千冊から気になる言葉を拾いあげ、廊下、遺伝情報、肉離れ、土地とあぶくのように連想が広がった。
2つ目の「要約ワーク」では、拾った言葉をミメロギアへ落とし込む。
踊り場の偶然・廊下の必然(田中)
変異の偶然・進化の必然(坪井)
――それぞれ一見近い言葉が「偶然・必然」の違いを際立たせている(師範代・飯田泰興)
前十字靱帯断裂の偶然・肉離れの必然(師範・遠藤健史)
――これくらい具体的だと、場面が浮かんでいい(番匠・渡辺恒久)
南アフリカの偶然・日本の必然(山口)
――自己紹介で見つけた言葉からエピソードが立ち上がり、「偶然・必然」のイメージを引き立てた(番匠・阿曽祐子)
多くの言葉が、遠くからの月明りのように汁講を照らした。偶然に誘われた情報が、ミメロギアに向かう学衆たちの視野を豊かに広げる夜となった。
(文/風月盆をどり教室 師範代・飯田泰興)
「遠く」といえば、飯田師範代が「あちら」に行ってミメロギアを掴む瞬間を目撃した。
音頭取りの途中で急に黙る師範代。話そうとしても舌が回らず2分が経つ。すると急に、「あぁ…気分悪くて、意識が飛んでました!」と白い顔のまま帰還宣言を出す。そして「貧血の偶然・熱血の必然」と新出ミメロギアを笑顔で届けた。なんでも編集契機にしてしまうのが師範代だ。
(編集/師範・遠藤健史)
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
テスト・課題・就活には編集力が一番効く 学校のテスト結果に先がけて、55[守]番選ボードレール「一種合成」の講評が揃った。5日間にわたり届いた10本のほとんどに近大生の名前があった。やはり今期はひと味違う […]
緊急開催!!! 特別講義「佐藤優の編集宣言」の読前ミーティング
特別講義「佐藤優の編集宣言」(7月6日開催)まであと一週間という金曜、55[守]最初の番選ボードレールの講評のさなか、特別講義チームによるミーティングが開催された。 数日前に佐藤優さんから課題本『消された外 […]
「この部屋、昼はこんなにまぶしかったんですね」 東京から駆け付けた学林局の衣笠純子が、教室を見てつぶやいた。6月17日、大阪は快晴。近畿大学・アカデミックシアターのACT-116はガラス張りで、午後の光 […]
第2回創守座の特徴は、なんと言っても学衆のオブザーブだ。指導陣が一堂に会する場を、半分、外に開いていくというこの仕組み。第1回の創守座が師範代に「なる」場だとすると、この回では師範代になることを「見せる」場にもなる。オ […]
かつて「ケイコとマナブ」というスクール情報誌があった。習い事である”稽古”と資格取得にむけた”学び”がテーマごとに並んでおり、見ているだけで学んだ気分になれたものだ。 今や小学生の約3人に2人は習いごとをしているが、 […]
コメント
1~3件/3件
2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。