私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。

たまむしメガネ連教室・松田秀作師範代は、黒から緑を帯びたメガネにかけ換え、半解マイカ教室・登田信枝師範代は、占い師のような装いで石を半分に割った。半音タトゥー教室・榎田智子師範代は、その日おろしたばかりのズボンにできた創を見せ、モウソウ縁子さん教室・小林美穂師範代は、手にした灰色の日常世界の写真を破った。
左上:半解マイカ教室・登田信枝師範代、左下:モウソウ縁子さん教室・小林美穂師範代、右:半音タトゥー教室・榎田智子師範代
これは2024年10月5日に行われた、創守座での風景である。
54[守]の師範代たちは自身が作成したフライヤーを手に、15週間の編集稽古を通して出会う世界について全身で語った。A4の紙に収まりきらなかった想いを、つまみ食いしてみる。
■たまむしメガネ連教室・松田秀作師範代
手にしたのは編集の型を通して、世界の見方を変幻自彩に見ることができるメガネ。これを手渡し、日常で使ってもらうことが自分の使命だと宣言する。
■中ゴシABC教室・上原正行師範代
「中」とは新しいものも古いものも、つるつるもケバケバも、漢字もカナもアルファベットもある状態。中腰になって目線をずらし、この姿勢は探し続ける態勢だと話す。
■カタコト黄表紙教室・細井あや師範代
様々な木の色や風合いを活かし、組み合わせて作られる寄木細工の小箱。それを[守]での経験と重ねる。中に入っているのは、それぞれが持つ曖昧な感覚だと言うと、手にした小箱を揺さぶった。
■チリモンどんたく教室・小湊倫子師範代
オンライン参加であった小湊師範代。画面から飛び出るくらいの勢いでお囃子をうたいおどり全身で編集の面白さ表すと、自分の中にある可能性を秘めたモンスターを表象させようと、笑顔で伝えた。
左上:たまむしメガネ連教室・松田秀作師範代、左下:チリモンどんたく教室・小湊倫子師範代、右上:中ゴシABC教室・上原正行師範代、右下:カタコト黄表紙教室・細井あや師範代
創守座のちょうど一週間前、本楼では津田一郎氏による「カオス理論と物語編集」の講義があった。津田氏の語りによって、アルマスキャビアのような存在だったカオス理論が、いくらの醤油漬けくらい、距離が近づくように感じた。同じ場に立ち、語った54[守]師範代たち。彼らの語りもまた、編集なんて関係ないと思う人を、引き寄せる力があった。師範代が加わることによって、引き出されるうま味。彼らと共に味わう54[守]が間もなく始まる。
文・アイキャッチ/中村裕美(54[守]師範)
写真/阿久津健(54[守]師範)・北條玲子(54[守]師範)
◆イシス編集学校 第54期[守]◆
稽古期間:2024年10月28日(月)~2025年2月9日(日)
詳細・申込:https://es.isis.ne.jp/course/syu
イシス編集学校 [守]チーム
編集学校の原風景であり稽古の原郷となる[守]。初めてイシス編集学校と出会う学衆と歩みつづける学匠、番匠、師範、ときどき師範代のチーム。鯉は竜になるか。
テスト・課題・就活には編集力が一番効く 学校のテスト結果に先がけて、55[守]番選ボードレール「一種合成」の講評が揃った。5日間にわたり届いた10本のほとんどに近大生の名前があった。やはり今期はひと味違う […]
緊急開催!!! 特別講義「佐藤優の編集宣言」の読前ミーティング
特別講義「佐藤優の編集宣言」(7月6日開催)まであと一週間という金曜、55[守]最初の番選ボードレールの講評のさなか、特別講義チームによるミーティングが開催された。 数日前に佐藤優さんから課題本『消された外 […]
「この部屋、昼はこんなにまぶしかったんですね」 東京から駆け付けた学林局の衣笠純子が、教室を見てつぶやいた。6月17日、大阪は快晴。近畿大学・アカデミックシアターのACT-116はガラス張りで、午後の光 […]
第2回創守座の特徴は、なんと言っても学衆のオブザーブだ。指導陣が一堂に会する場を、半分、外に開いていくというこの仕組み。第1回の創守座が師範代に「なる」場だとすると、この回では師範代になることを「見せる」場にもなる。オ […]
かつて「ケイコとマナブ」というスクール情報誌があった。習い事である”稽古”と資格取得にむけた”学び”がテーマごとに並んでおり、見ているだけで学んだ気分になれたものだ。 今や小学生の約3人に2人は習いごとをしているが、 […]
コメント
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2025-07-03
私の28[花]キャンプは、吉阪隆正の建築思想【不連続統一体】の体験だった。場面ごとに異なる空間が次々と立ち現われてくる。よく分からないままに一周すると、ようやく建物を貫く原理のようなものが見えてくる。この「遅れて」やってくる全体性がたまらなかった。
2025-07-02
連想をひろげて、こちらのキャビアはどうだろう?その名も『フィンガーライム』という柑橘。別名『キャ
ビアライム』ともいう。詰まっているのは見立てだけじゃない。キャビアのようなさじょう(果肉のつぶつぶ)もだ。外皮を指でぐっと押すと、にょろにょろと面白いように出てくる。
山椒と見紛うほどの芳香に驚く。スパークリングに浮かべると、まるで宇宙に散った綺羅星のよう。
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。