発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

伝説のワークショップが、多読アレゴリアでも。
2025年 春、多読アレゴリアに新クラブが誕生します。
編集の型を使って、医学ゲームをプランニングする
「MEdit Lab for ISIS」です。
■MEdit Labとは
MEdit Labとは、Medicine(医学)とEdit(編集)を一種合成した名前。順天堂大学で病理医として働く析匠小倉加奈子を中心に、中高生に医学教育をつうじて編集工学を伝えるべく活動するコミュニティです。2022年秋に発足以来、公式サイトでコラムを配信するほか、中高生むけ出張出前授業をおこなったり、医学ゲームづくりのワークショップを開催してきました。▲2024年度ワークショップ「医学をみんなでゲームする」のオープニングイベントより
■《型》を使って、医学ゲームをつくる!
多読アレゴリア MEdit Lab for ISISでは、[守][破]で学んできた編集の型を使って「医学ゲーム」をつくっていきます。いつもの編集稽古のように「お題」に回答すると「指南」が届き、順番に「お題」に挑戦していくと、誰でも自然と「医学ゲーム」が作れるという画期的なカリキュラムです。
このカリキュラムは、2023年度、2024年度に「医学をみんなでゲームする」というワークショップですでに実践済み。中学校1年生から一般の社会人、現役ドクターからプロのゲーム作家まで(!)が、お題に取り組み、見事なゲームを作り上げています。お題の一例や、完成したゲームをプレゼンしたり遊んだりする様子などは、MEdit Labのページからご覧ください。
医学などまったく学んだことのない中高生でも、現役ドクターたちが「研修に使いたい」と唸るほどのゲームを生み出す“伝説”のワークショップなのです。
■山本貴光さん、米光一成さん、石神康秀さんのお力添えも
お題の開発には[AIDA]ボードも務めた、文筆家で元ゲームプランナーの山本貴光さんにも協力いただきました。2023年度のワークショップでは、山本さんじきじきに「ゲームづくり」の基本を4回に渡ってレクチャーいただき、お題にはその講義内容のエッセンスをたっぷり注入しています。
加えて、「ぷよぷよ」の生みの親としてお馴染みの米光一成さんや、ボードゲーム編集者・石神康秀さんも、MEdit Labのお題に取り組んで、ゲームをつくってくださいました。米光さんは医療ミスをテーマに、石神さんはアレルギー反応をテーマにしたゲームを考案。(ゲームの様子はこちらの記事からご覧ください)。MEdit Labのお題は、ゲーム開発のプロお墨付きです。
▲米光さん(写真左)や順天堂現役ドクター(写真右)が、参加者のゲームに直接アドバイスも!
■「医学ゲーム」をつくる編集的意義とは
では、なぜ「医学ゲーム」をつくるのでしょう。医学の専門家でもない人たちが、どうして医学ゲームをつくる必要があるのでしょう。
医学とは、自分の「心と身体」の仕組みを学ぶ学問です。本来は、いま生きている私たちすべてが無関係ではいられない学問領域です。そうはいっても、非・医療従事者にとって、医学とはやはりとっつきづらいもの……。だからこそ、未知の分野に分け入って、学びを深める「編集術」の出番なのです。
広大な未知なるジャンルのなかから、自分の興味のあるテーマを選び出し、調べ、それをカタチにする。「ゲームづくり」とは、[破]の集大成のカリキュラムであるプランニング編集術の実践です。《ルル3条》から《よもがせわほり》まで、一挙に体験できるのが、MEdit Lab独自のお題です。
▼2024年度ワークショップ「医学をみんなでゲームする」のお題はこんなかんじ。MEdit Lab for ISISではさらにパワーアップしてお届け。
■M×Eの仲間とともに
医学ゲームをつくるという未知なる冒険にご一緒するのは、【医学×編集】を体現するメンバーです。
代表はもちろん、イシス編集学校析匠にして順天堂大学病理医の小倉加奈子。『おしゃべり病理医のカラダと病気の図鑑』『おしゃべりながんの図鑑』など、医学の専門知識を《見立て》を駆使して一般向けに語り下ろした著作も大人気。(韓国語で翻訳もされました)
小倉とタッグを組むのは、順天堂大学で小倉の後輩として働く病理医しんしんこと發知詩織(49[破]突破)。爆走する小倉のイメージメントを、ひとつも取りこぼすことなく完璧にマネージメントしていく稀代の編集的ドクター。
さらに、石川で総合診療医として働く16[離]火元組で、師範・華岡晃生も参戦。MEdit Labサイトで連載中の「ミカタの東洋医学」にはかなりのPVを記録中。
加えて、MEdit Labサイトで「言語聴覚士コトバト通信」を連載する、美しき言の葉使い・言語聴覚士の竹岩直子(48[守]はいから官界教室師範代)も運営に加わります。
病理医・総合診療医・言語聴覚士。それぞれ異なる専門分野をもつ医療従事者が、お題に取り組むみなさんにさまざまな方面からサポート。医療のリアルにも触れられます。
■生命に学び、編集術を実践するチャンスとして
MEdit Labでは、カリキュラムを通じて生まれたゲームのなかから、すぐれた作品を商品化して販売することも視野に入れています。
実際に、いま、病理医しんしんが開発した病理診断を体感するカードゲーム「バナオーマ」や、ワークショップのなかから生まれた多職種連携をテーマにしたゲームは、出版社やゲーム屋さんとコラボのもと、実用化していくプロジェクトが進みつつあります。
編集稽古をイシス編集学校のなかで終わらせない。編集術を応用し、実践し、社会に打って出る武器として使っていきたい。そんな願いに共鳴する方と出会えるのも楽しみにしています。
松岡校長が大事にしていたモットーは、「生命に学ぶ」「歴史を展く」「文化と遊ぶ」。MEdit Lab for ISISは、「生命に学ぶ」場として、この上ない環境だと自負しています。
ぜひ、ともに。医学×編集の可能性を体感しましょう! レッツMEdit Q!
多読アレゴリア2025春「MEdit Lab for ISIS」
【定員】20名
【申込】https://shop.eel.co.jp/products/tadoku_allegoria_2025haru
【開講期間】2025年3月3日(月)〜2025年5月25日(日)
【申込締切】2025年2月24日(月)
【受講資格】どなたでも受講できます
【受講費】月額11,000円(税込)
※ クレジット払いのみ
※ 初月度分のみ購入時決済
以後毎月26日に翌月受講料を自動課金
例)2025春申し込みの場合
購入時に2025年3月分を決済
2025年3月26日に2025年4月分、以後継続
・2クラブ目以降は、半額でお申し込みいただけます。
・1クラブ申し込みされた方にはクーポンが発行されますので、そちらをご利用の上、2クラブ目以降をお申し込みください。
【お問合せ】allegoria@eel.co.jpまでご連絡ください
【2025春 多読アレゴリアWEEK】
▼着物コンパ倶楽部
▼MEditLab for ISIS
編集術を使って、医学ゲームをつくる!?
梅澤奈央
編集的先達:平松洋子。ライティングよし、コミュニケーションよし、そして勇み足気味の突破力よし。イシスでも一二を争う負けん気の強さとしつこさで、講座のプロセスをメディア化するという開校以来20年手つかずだった難行を果たす。校長松岡正剛に「イシス初のジャーナリスト」と評された。
イシス編集学校メルマガ「編集ウメ子」配信中。
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コメント
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2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。