【Archive】マンガのスコア 各作家のキーブックはこれだ!!

2022/06/28(火)22:42
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 こちらは「マンガのスコア」のアーカイブコーナーです。

 これまで掲載された「マンガのスコア」のリンク付きリストを一覧にするという趣旨なのですが、ただ並べるだけでは芸がないので、少し趣向を変えてみました。

 題して【クロニクル風「マンガのスコア」リスト】です。

 

 まずは、各作家につき一冊ずつ代表作を割り振ってみました。

「マンガ史的に重要な作品」という要素も加味しましたので、一般的な意味での代表作とは微妙にずれているケースもあります。

 その上で、各作品の発表年(又は連載開始年)をもとに作家の順番を並べ替えてみました。

 

 今までの連載では、できるだけランダムになるように、無茶苦茶な順番で書いてきたのですが、こうして並べ直してみると、なにか時代の流れのようなものが見えてきますね。

 作品を渉猟する一助となれば幸いです。

 

☆☆戦後マンガのあけぼの☆☆

1946年 長谷川町子『サザエさん』(LEGEND41)

1948年 手塚治虫『ロストワールド』(LEGEND01)

1953年 杉浦茂『猿飛佐助』(LEGEND31)

 

長谷川町子『サザエさん』⑰姉妹社

手塚治虫『ロストワールド宇宙編』ふゅーじょんぷろだくと

杉浦茂『おもしろブック版猿飛佐助』青林工藝舎

 

 

☆☆トキワ荘と劇画工房 マンガの揺籃期☆☆

1956年 辰巳ヨシヒロ『黒い吹雪』(LEGEND11)

1956年 横山光輝『鉄人28号』(LEGEND18)

1959年 白土三平『忍者武芸帳』(LEGEND21)

1960年 水野英子『星のたてごと』(LEGEND05)

1961年 水木しげる『河童の三平』(LEGEND29)

1961年 石ノ森章太郎『竜神沼』(LEGEND36)

1962年 赤塚不二夫『おそ松くん』(LEGEND19)

1962年 平田弘史『血だるま剣法』(LEGEND32)

1965年 園山俊二『ギャートルズ』(LEGEND35)

 

横山光輝『鉄人28号』秋田書店

水野英子『星のたてごと』朝日ソノラマ

白戸三平『忍者武芸帳』小学館クリエイティブ

 

 

☆☆「ガロ」「マガジン」少女マンガ カンブリア大爆発期☆☆

1966年 梶原一騎『巨人の星』(LEGEND51)

1967年 ちばてつや『あしたのジョー』(LEGEND26)

1968年 本宮ひろ志『男一匹ガキ大将』(LEGEND22)

1968年 つげ義春『ねじ式』(LEGEND02)

1968年 さいとう・たかを『ゴルゴ13』(LEGEND39)

1969年 藤子不二雄A『ひっとらぁ伯父サン』(LEGEND08)

1969年 藤子・F・不二雄『ミノタウロスの皿』(LEGEND09)

1970年 林静一『赤色エレジー』(LEGEND25)

1972年 萩尾望都『ポーの一族』(LEGEND07)

1972年 永井豪『デビルマン』(LEGEND20)

1972年 山上たつひこ『喜劇新思想大系』(LEGEND27)

1976年 竹宮恵子『風と木の詩』(LEGEND14)

1976年 諸星大二郎『生命の木』(LEGEND34)

1977年 松本零士『銀河鉄道999』(LEGEND24)

1978年 大島弓子『綿の国星』(LEGEND23)

 

つげ義春『ねじ式』青林工藝舎

ちばてつや『あしたのジョー』⑪講談社

萩尾望都『ポーの一族限定BOX』小学館

 

 

☆☆ニューウェーブと「ジャンプ」 深化発展期☆☆

1978年 高橋留美子『うる星やつら』(LEGEND40)

1978年 吾妻ひでお『不条理日記』(LEGEND30)

1979年 いがらしみきお『ネ暗トピア』(LEGEND13)

1980年 大友克洋『童夢』(LEGEND38)

1980年 鳥山明『Dr.スランプ』(LEGEND03)

1980年 山岸凉子『日出処の天子』(LEGEND33)

1981年 丸尾末広『少女椿』(LEGEND45)

1981年 江口寿史『ストップ!!ひばりくん!』(LEGEND44)

1982年 宮崎駿『風の谷のナウシカ』(LEGEND37)

1982年 楳図かずお『わたしは真吾』(LEGEND16)

1983年 杉浦日向子『百日紅』(LEGEND47)

1986年 荒木飛呂彦『ジョジョの奇妙な冒険』(LEGEND42)

 

高橋留美子『うる星やつら』⑭小学館

鳥山明『Dr.スランプ』④集英社

大友克洋『童夢』双葉社

 

 

☆☆爛熟と多様化☆☆

1988年 近藤ようこ『水鏡綺譚』(LEGEND04)

1988年 かわぐちかいじ『沈黙の艦隊』(LEGEND46)

1989年 岡崎京子『pink』(LEGEND12)

1989年 吉田戦車『伝染るんです。』(番外編)

1990年 安彦良和『虹色のトロツキー』(LEGEND43)

1993年 岡野玲子『陰陽師』(LEGEND28)

1993年 松本大洋『鉄コン筋クリート』(LEGEND49)

1993年 鳩山郁子『スパングル』(LEGEND50)

1995年 高野文子『棒が一本』(LEGEND15)

1998年 井上雄彦『バガボンド』(LEGEND17)

1999年 浦沢直樹『20世紀少年』(LEGEND48)

2006年 山本直樹『レッド』(LEGEND06)

2006年 吉田秋生『海街diary』(LEGEND10)

2009年 駕籠真太郎『フラクション』(番外編)

2016年 吾峠呼世晴『鬼滅の刃』(番外編)

 

近藤ようこ『水鏡綺譚』筑摩書房

岡崎京子『pink』マガジンハウス

安彦良和『虹色のトロツキー』潮出版社

 

 

☆☆連載終了後に掲載された番外編☆☆

2018年 阿部洋一『それはただの先輩のチンコ』

     阿部洋一インタビュー

2020年 魚豊『チ。』

2021年 トマトスープ『天幕のジャードゥーガル』

 

☆☆マンガのスコアを語る舞台裏編☆☆

マンガのスコアの創り方

インタビューその壱(2021/1/3)

インタビューその弐(2022/1/2)

 

◆なお、掲載順リストについては、「編集者紹介」からたどったコチラを見ていただくのがよいかと思います。最新版からの「降順」で表記されているので、後ろからたどることになります。

 

 

 

◆自室の書架にあるものの中から、連載の順番に沿って一作家一冊ずつ単行本を並べてみました。吾峠呼世晴と杉浦日向子の単行本は一冊も持っていないので省略。

  • 堀江純一

    編集的先達:永井均。十離で典離を受賞。近大DONDENでは、徹底した網羅力を活かし、Legendトピアを担当した。かつてマンガ家を目指していたこともある経歴の持主。画力を活かした輪読座の図象では周囲を瞠目させている。

コメント

1~3件/3件

川邊透

2025-06-30

エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
 
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
 
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。

堀江純一

2025-06-28

ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。

山田細香

2025-06-22

 小学校に入ってすぐにレゴを買ってもらい、ハマった。手持ちのブロックを色や形ごとに袋分けすることから始まり、形をイメージしながら袋に手を入れ、ガラガラかき回しながらパーツを選んで組み立てる。完成したら夕方4時からNHKで放送される世界各国の風景映像の前にかざし、クルクル方向を変えて眺めてから壊す。バラバラになった部品をまた分ける。この繰り返しが楽しくてたまらなかった。
 ブロックはグリッドが決まっているので繊細な表現をするのは難しい。だからイメージしたモノをまず略図化する必要がある。近くから遠くから眺めてみて、作りたい形のアウトラインを決める。これが上手くいかないと、「らしさ」は浮かび上がってこない。