発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。

第73回感門之盟にて、[遊]物語講座十二綴の賞選結果が発表された。
総合ポイントトップとなる冠綴賞を受賞したのはニルス吉里吉里文叢の田中良英さん。作品賞をとらずに冠綴賞を勝ち取ったのは二綴以来の快挙だ。
赤羽卓美綴師は「世の中の物語には多様な読者がいるということが際立った十二綴でした。田中さんの作品にはどれも物語編集力が満ちていた。これからもさらに上を目指して紡ぎ続けてほしい」と祝福した。
マイクを渡された田中さんは「受講中は書くことの辛さや難しさを感じていました。頭の中で考えたことが本当に伝わるんだろうかと悩みながら書き進めていましたが、読みやすいと評価された、つまり伝わる物語になっていたということがわかり、今、とてもうれしく思います。受講前は五つも物語が書けるなんて想像していませんでした」と受賞の心境を語った。
松岡正剛校長は書斎から中継で、「『書く』は読むと違って新しいイマジネーションが問われる行為です。物語というのは変化なんだね。変革、変貌の『変』。どういうふうに変わっていくかということ。物語講座は、師範、師範代と叢衆の関わり方がおもしろい。指導陣が読む側として回答に交渉していく。これは守破ではちょっと味わえないね」と笑みをうかべながらコメントした。
田中さんにはさらなる研鑽を期待し『物語創世――聖書から〈ハリー・ポッタ―〉まで、文学の偉大なる力』(マーティン・プフナー)が贈呈された。
その他の賞は以下の通り。
◇トリガー賞 『飛天』吉本明子さん(白鯨大地文叢)
◇編伝賞 『レフレッシオーネ ――ルイージ・ルッソロ』高橋陽一さん(百日紅ギャツビー文叢)
◇窯変落語賞 『すじちがい』三津田恵子さん(百日紅ギャツビー文叢)
◇窯変ミステリー賞 『何ゾ非常ニ』大音美弥子さん(百日紅ギャツビー文叢)
◇窯変幼な心賞 『少年の夏』森重実さん(ニルス吉里吉里文叢)
松井 路代
編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。
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コメント
1~3件/3件
2025-07-01
発声の先達、赤ん坊や虫や鳥に憑依してボイトレしたくなりました。
写真は、お尻フリフリしながら演奏する全身楽器のミンミンゼミ。思いがけず季節に先を越されたセミの幼虫たちも、そろそろ地表に出てくる頃ですね。
2025-06-30
エディストの検索窓に「イモムシ」と打ってみたら、サムネイルにイモムシが登場しているこちらの記事に行き当たりました。
家庭菜園の野菜に引き寄せられてやって来る「マレビト」害虫たちとの攻防を、確かな観察眼で描いておられます。
せっかくなので登場しているイモムシたちの素性をご紹介しますと、アイキャッチ画像のサトイモにとまる「夜行列車」はセスジスズメ(スズメガ科)中齢幼虫、「少し枯れたナガイモの葉にそっくり」なのは、きっと、キイロスズメ(同科)の褐色型終齢幼虫です。
添付写真は、文中で目の敵にされているヨトウムシ(種名ヨトウガ(ヤガ科)の幼虫の俗称)ですが、エンドウ、ネギどころか、有毒のクンシラン(キョウチクトウ科)の分厚い葉をもりもり食べていて驚きました。なんと逞しいことでしょう。そして・・・ 何と可愛らしいことでしょう!
イモムシでもゴキブリでもヌスビトハギでもパンにはえた青カビでも何でもいいのですが、ヴィランなものたちのどれかに、一度、スマホレンズを向けてみてください。「この癪に触る生き物をなるべく魅力的に撮ってやろう」と企みながら。すると、不思議なことに、たちまち心の軸が傾き始めて、スキもキライも混沌としてしまいますよ。
エディスト・アーカイブは、未知のお宝が無限に眠る別銀河。ワードさばきひとつでお宝候補をプレゼンしてくれる検索窓は、エディスト界の「どこでもドア」的存在ですね。
2025-06-28
ものづくりにからめて、最近刊行されたマンガ作品を一つご紹介。
山本棗『透鏡の先、きみが笑った』(秋田書店)
この作品の中で語られるのは眼鏡職人と音楽家。ともに制作(ボイエーシス)にかかわる人々だ。制作には技術(テクネ―)が伴う。それは自分との対話であると同時に、外部との対話でもある。
お客様はわがままだ。どんな矢が飛んでくるかわからない。ほんの小さな一言が大きな打撃になることもある。
深く傷ついた人の心を結果的に救ったのは、同じく技術に裏打ちされた信念を持つ者のみが発せられる言葉だった。たとえ分野は違えども、テクネ―に信を置く者だけが通じ合える世界があるのだ。