イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。
組織・人材開発コンサルタントの猿川博美さん(大阪在住)は、バリバリと仕事をこなす傍ら、ライブ遠征という趣味を持っている。推し活の中で再発見したイシスの方法とは――。
イシス受講生がその先の編集的日常を語るエッセイシリーズの第19回。猿川さんのエッセイをお届けします。
サカナクションの最新アルバム『懐かしい月は新しい月』。
このタイトルを見た時、「うーん、なんかイシスのお題でこんな感じのものがあったなぁ。型は何だったかなぁ」と、ふと思った。
私は、音楽ライブやフェスに行くことが趣味だ。推しのひとつがサカナクションで、CDやグッズも買う。CDは、音源を聴く前に、まずは外観を眺めるのが儀式になっている。見るだけでワクワク度が上がる。
月が美しく描かれたCDを手にして、タイトルを眺めたときに、イシス編集学校のことを思い出したのだ。
基本コース[守]の卒門(修了)から3年経過し、出されたお題や編集術である型は、すっかり忘れていた。けれど、頭に汗をかき、心が折れそうになりながらも必死で宿題(回答)を提出した日々は覚えている。その時の感覚から、ジワリと記憶が引き出された。
「『懐かしい月は新しい月』って、《やわらかいダイヤモンド》かな」
これは、まったく新しい組み合わせで今までにない言葉を作るお題だ。
「対比かな?」
対比という型を意識せよと、師範代に指南された記憶が蘇る。
イシスで学んだ型やエッセンスは、はっきり記憶していなくても、実は体にインストールされているのかもしれない、と思う。
型がインストールされているおかげで、言葉に対して、少しだけ感度が上がった。そして、もう少し探求してみようと思えるようになった。
ということで、アルバムタイトルのコンセプトを調べてみた。本作は、昔の曲をリミックス・リアレンジした作品集で、月を感じられる曲が多い。楽曲を月に例え、「昔の曲(月)が新しい曲(月)になる」という作り手の想いが込められている。
彼らの第1弾アルバムは、2015年に発売された。今までは、タイトルはあまり気にしておらず、「ふーん、そうなんだー」と思うだけで、せっせと曲を聴くだけだった。耳で感じるだけだった。
ところが、[守]の編集稽古で「対比表現には物事の「らしさ」を強調する働きがあります」と学んだ私は、このタイトルにサカナクションの「らしさ」を感じ取り、どの型が使われているかを紐解こうとした。文字からも何かを感じ取ろうとした。
これって、アップデートかも!
普段はすっかり忘れているけれど、一度インストールされてしまったものは、何かをきっかけにして作動する。イシスでインストールされたものが作動すると、物事を豊かに捉えることができるのだ。感覚がアップデートされた私は、さらに音楽を楽しむようになり、推し活がますます加速されることになる。
▲サカナクションを含め「毎月3~8回ライブに行く」という猿川さん。彼らのグッズ、CD・DVDだけで50くらいあるというが(写真はその一部)、「他の推しのグッズも含めると数えきれません(笑)」。
文・写真/猿川博美(46[守]黄昏メビウス教室、46[破]王冠切れ字教室)
編集協力/中島紀美江
編集/吉居奈々、角山祥道
エディストチーム渦edist-uzu
編集的先達:紀貫之。2023年初頭に立ち上がった少数精鋭のエディティングチーム。記事をとっかかりに渦中に身を投じ、イシスと社会とを繋げてウズウズにする。[チーム渦]の作業室の壁には「渦潮の底より光生れ来る」と掲げている。
流通の本来を再編集する――浅沼正治のISIS wave #32
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 流通業界一筋の浅沼正治さんは、46歳の時にイシス編集学校で学んだことで、流通システムの見方ががらっとかわったという。 […]
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 2021年の秋、指導員の資格を持つほどスキー好きの夫に連れられ、新井隆子さんは北海道・ニセコに移住した。そこでの驚きの […]
ISIS waveで渦を増やしたい――チーム渦◎座談会 vol.3
イシスの学びは渦をおこし浪のうねりとなって人を変える、仕事を変える、日常を変える――。 受講生のエッセイシリーズ「ISIS wave」の連載30回&アーカイブ化を記念したチーム渦座談会。3日連続公開の最後を飾るのは、 […]
ISIS waveで書き手もうずうず――チーム渦◎座談会 vol.2
〝イシス編集学校と社会をつなげる〟を合言葉に、2023年3月から始まった、イシス編集学校受講生がエッセイの書き手となる「ISIS waveシリーズ」。 「チーム渦」の面々――花伝所から遊刊エディスト記者に進んだ羽根田 […]
ISIS waveは渦を起こす――チーム渦◎座談会 vol.1
〈渦潮の底より光生れ来る〉 俳人出口善子氏の句を掲げ、遊刊エディストの渦潮の底より「チーム渦」は生まれ出でた。〝イシス編集学校と社会をつなげる〟を合言葉に、2023年3月から「ISIS waveシリーズ」を連載し、編集 […]