<多読ジム>Season03が夏の扉を開ける、その2週間前。
2020年6月28日(日)24:00、Season02は終わりの時を迎えた。
100人を超える読衆のトレーニングは各々の読筋をふるわせ、爽快感と未練、汗と涙のしずくを残す。
<多読ジム>のお題のひとつ、「エディション読み」では『千夜千冊エディション』のリコメンド文づくりが行われる。
いわゆるブックイベントなどの推薦本につけられるリコメンド文は、相手や自分のシチュエーションが主役になるか、あるいは本の要約に留まり、著者と内容、そして自分との関わりが響いてこないものが多い。読書を自分ごとにするのではなく、一般論に留まりがちだ。
しかし、<多読ジム>ではアナザーセルフ、すなわちその本の「読前」の自分に向けて、千夜千冊のエッセンスを贈るつもりでリコメンド文に取り組む。著者や松岡正剛のイメージも加えながら、自分の心に刺さったフレーズを随所に取り入れていくのだ。
スタジオこんれんSeason02の読衆であり、編集学校では編集レクチャーの名手として活躍中の、寺田充宏師範による『千夜千冊エディション 本から本へ』よりリコメンド文を、図と共に紹介する。
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<リコメンド文>
本には何でも入ることはとっくの昔に教えてもらった。だが校長の読書には遠く及ばない。そこで本書だ。読むことと書くことを行き来する方法がハイパーリンクして全頁に横溢している。
いずれも多様である。『正法眼蔵』の禅観75項目を一気に同時現成させ、A~Lまでの多重のポオを呼び込んだかと思えば、エーコとブラッドベリを突き抜けて『それでも、読書もやめない理由』が実感できる。
読書と編集は社会の情報編集に対する抵抗なのである。
本と交際するには文字をなぞるだけではおぼつかない。カラザースに中世の読書術を学ぶべきで、アフォーダンスが出入りする体ごとのエクササイズにしなければならない。
千夜千冊の勝手と自分勝手を重ねて読んで、書いて、また読め。
<寺田師範による図解>
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『本から本へ』に収録されている『正法眼蔵』『記憶術と書物』『薔薇の名前』『華氏451度』。
世界読書の奥義から、書架の森を抜け、一通りでない読み方の指南を受け、ビブリオゲームに遊ぶ。宗教、文学、教育をテーマにした本が過去から未来へ連綿と渡る。
読書は1冊読んだら仕舞いではない。本から本をつたって自分と著者、あるいは松岡、そしてスタジオの仲間の記憶と情報を繋ぎ合わせる。ある1冊が別の1冊を掴もうとする、その力が“読書をやめない理由”をもたらすのだ。
<多読ジム>では読書がハイパーテクストであることを誰もが体感できる。
寺田師範は本と自分だけでなく、読み方も能動的になることを伝えた。
●多読ジムseason03夏 開講中
●エディットツアー
イシス編集学校の師範・師範代によるレクチャーを通じて、ユニークな編集ワークが体験できる。春に続いて、今夏もオンラインツアーを開催予定。
増岡麻子
編集的先達:野沢尚。リビングデザインセンターOZONEでは展示に、情報工場では書評に編集力を活かす。趣味はぬか漬け。野望は菊地成孔を本楼DJに呼ぶ。惚れっぽく意固地なサーチスト。
SUMMARY 私たちが食べてきたものとは何か。思い返すとそこには過ごしてきた日々の記憶がつき纏う。例えばおやつには家族や友人とのエピソードが潜んでいて、おやつを前にすると誰もが子どもの表情に戻る。小川糸が紡ぐ生死が混 […]
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白洲正子もチャペックもウィリアム・モリスもメーテルリンクもみんなボタニストの編集的先達だ。<多読ジム>Season08・秋、三冊筋エッセイのテーマは「ボタニカルな三冊」。今季のライターチームはほぼほぼオール冊師の布陣をし […]