無人書店・奈良町ふうせんかずらに”スタジオらん”棚あります【新連載☆ニッチも冊師も】

2023/12/10(日)08:00
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多読ジムの冊師によるリレーコラム「ニッチも冊師も」の連載がスタート!
多読ジムの冊師っていったいナニモノ? スジモノ? キレモノ? カブキモノ?
「らん」のまつみち、「みみっく」のハタモト、「美ジョン」のヨーコ、「ゆむかちゅん」のワタン、「かーる」のニシムラ、「ファジー」のしげひろ、「スダジイ」のスダ爺、「ドッキ」のリカちゃん…などなどなど。
仕立ての良い窓サッシのように光と風のアケフセが上手で、どんなニッチも見逃さない抜群のサッチ力をそなえた冊師たち。スタジオのマダムやマスターたちは、そんなキレッキレの読相術をいかにしてキープ・オンしているのか。読みの美肌や美脚、美ポーズのお手入れ術を大公開!

 

 「三冊屋」というお題

 

 イシス編集学校の多読ジムには三冊屋レコメンデーションというお題がある。三冊組にした本のレコメンド文を書く。レコメンド文を目にした人が、その本を手にとりたくなるように書くのがネライだ。
 2020年から、多読ジムで自らもトレーニングしつつナビ役の冊師を続けている。いくつものレコメンド文を読んだり書いたりしているうちに、実際に、本にレコメンド文をつけて売ってみたいと思うようになった。
 2022年の夏、奈良市にある「ふうせんかずら」というシェア型書店の棚を借り、棚主となった。50人ほどの棚主が共同で運営しており、それぞれセレクトした本を売っている。

 

無人書店「ふうせんかずら」。近鉄奈良駅から徒歩6分

 

年中無休、営業時間は7時30分から22時まで。普段は無人で、棚主も客もIDナンバーで鍵を開けて入る仕組みになっているユニークな仕組みで、売るのは中古本でも新刊でも、手作り本でもよい。いくらに値付けするかは棚主に委ねられている。

 

「カギ開放デー」以外は、IDナンバーで鍵を開けて入る

 

一人が一棚を運営している

 
 仕入れて並べる

 

 棚の名前は、担当するスタジオの名前をそのまま生かして「スタジオらん」とした。
 自宅にある本に加えて、スタジオらんの読衆がレコメンドした本を、売るために仕入れる。写真を撮り、中身にも目を通す。
 レコメンド文にたがわず、どれも想像以上におもしろい。
 未知の読者のところへ旅だって行く前のひとときだからこそ、読書が速く濃くなる。
 自分の積読本も、いざ売るとなると急に惜しくなる。見え方が変わって、読了してしまうことも多い。
 目を通し終えたら、買い手が読みたくなる値段はいくらだろうと考えながら、一冊ずつ価格を値札に書き入れ、挟んでいく。
 本の大きさや並べ方にもよるが、棚には60冊ほど置ける。たった60冊でも最初の搬入、配置には一時間以上かかり、「町の本屋さん」のすごさがわかった。


12月初旬のスタジオらん棚

 

 三冊組で売る

 お題のテーマが「食べる3冊」だったシーズン13では、5つの三冊組がスタジオらんから誕生した。麻紐で束ね、レコメンド文付きのセット売りにトライした。

 

シーズン13らん読衆・マスコさん選出の「食べる三冊」

 

麻紐で束ね、レコメンド文を挟み込んで並べた


 シーズン15のテーマ「映画と読む3冊」で集まった本はどう売ろう?
レコメンド文を載せるためのフリーペーパーを創ってみることを思い立った。他の棚主さんが近況やおすすめの本を載せたペーパーや冊子を置いていることに触発された。
 しかし、どんなソフトで編集したらいいのかわからない。
 そんな折、「ふうせんかずら」がNHK奈良で取材を受けることになった。10人を越える棚主が集まった時に、思いきって聞いてみた。キャンバというソフトが便利だと教わる。ビジュアル編集はあまり得意ではないけれど、置き場所があるということに背中をおされて、なんとか作り終えた。

2023秋号の表。テーマは「映画と本」

 

 地元の本友

 SNSで本の紹介をしている棚主も多い。互いにフォローする。気になった本は買って、感想をアップする。地元の知り合いが一気に増えた。
「らんさん」と屋号で呼ばれるのがくすぐったい。
 子どもイシスZINE「あそぼん」も棚においた。どうやって作ったのですかと聞かれ、話す。はじめて会った人でも会話がノンストップで展開するのはどこかイシス編集学校のオフ会[汁講]に似ている。

 生き物やサイエンスの本を並べている人、絵本を書いている人、法隆寺の本とグッズを出しているガイドさん、三人で一緒に出店している人、みんな棚のカラーが違う。

 週末はたまにお店番に入る。お客さんとも本の話ができる。

 

300部限定「あそぼん ゲームエディッツ」

 

 棚世界の素、多読ジム

 

 棚をつくるのは、小さな世界をつくる興奮がある。
 有名な本、無名な本。大人の本、子どもの本。きれいな本、渋い本、いろいろ取り合わせる。
 買われたら、補充する。世界が少しずつ変わっていく。ときどきガラっと変えると、売れゆきがよくなったりする。
 12月9日、10日には、ふうせんかずら移転オープン三周年記念のイベントが行われる。ふだんの棚にプラスして、均一市に70冊まで置ける。

 多読ジムのブッククエストでは、毎シーズン30冊~40冊の課題本リストが提示され、そこからキーブックを3冊選ぶのだが、自分が読みたい本だけでなく、スタジオらん読衆が選んだ本もできるだけ手に取るようにしてきた。「雑多」な本を一挙放出するかもしれない。

 シーズン17冬の課題本リストは51[守]50[破]に贈られた先達文庫で、”エディション読み”では『仏教の源流』を読む。棚世界の素は、松岡正剛校長、そして師範代に贈られる格別のリストだ。多読トレーニングを継続するかぎり、尽きることはない。
 多読ジムはイシス編集学校の講座のなかで一番、リアルな生活を変えるポテンシャルを持っていた。
 

【付記】

 ネットの学校・イシス編集学校の多読ジムは、世界中どこからでも、どなたでも受講可能です。読書の伴走者を求めている方、未知の本に出会いたい方、下記からお申込みください。

 

 

■info



☆シェア型書店「ふうせんかずら」


年中無休 7:30~22:00
https://www.instagram.com/narabookspace/

 

スタジオらんinstagram
https://www.instagram.com/book_studio_ran/

 

 

☆多読ジムシーズン17

 

・入門編お申し込みはこちら

 

 イシス編集学校、未受講の方のためのコースです。
【定員】10名
【申込資格】イシス編集学校 未受講者
【プログラム開催期間】7週間/2024年1月8日(月)~2月25日(日)

【開講日】2024年1月8日(月)
【申込締切日】2023年12月26日(火) まで 
【受講費】月額11,000円(税込)

 

通常コース(受講資格:突破以上)お申込みはこちら

 


  • 松井 路代

    編集的先達:中島敦。2007年生の長男と独自のホームエデュケーション。オペラ好きの夫、小学生の娘と奈良在住の主婦。離では典離、物語講座では冠綴賞というイシスの二冠王。野望は子ども編集学校と小説家デビュー。

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