ハンノキの葉のうえで、総身を白い菌に侵されて命を終えていたキハダケンモンの幼虫。見なかったことにしてしまいたくなるこんな存在も、アングルを変えてレンズを向けてみると、メルヘン世界の住人に様変わりする。
多読ジム出版社コラボ企画第四弾は、小倉加奈子析匠が主催するMEditLab(順天堂大学STEAM教育研究会)! お題のテーマは「お医者さんに読ませたい三冊」。MEdit Labが編集工学研究所とともに開発したSTEAM教材「おしゃべり病理医のMEdit Lab-医学にまつわるコトバ・カラダ・ココロワーク」で作成したブックリストから今回のコラボ企画のために厳選した30冊が課題本だ。読衆はここから1冊選び、独自に2冊を加えて三冊セットを作り、レコメンドエッセイ三冊屋(500〜600字)を書く。MEdit賞はいったい誰の手に?
地球の生物の未来を守るために、宇宙からある生物が飛来する。人類に寄生する生物は「種を食い殺せ」という指令を受けていた。『寄生獣』は公害や森林破壊など環境問題の原因を作り出している人類への警鐘だ。ガイアが、生物間のバランスを差配する。しかし、知的な寄生生物も、猟奇的な殺人で人類を怯えさせながら、いつしか、自己の存在意義に思い悩むようになる。宿主を殺さずに、寄り添うことでしか、自己保存を図れない。
ならば、種を進化させることで未来を守れるだろうか。種の進化について、人類内部の競争を大胆に戯画化したのが『オメガトライブ』だ。個を生かすための企みが、親殺しから子殺しに転化するとき、種は存続の速度を緩める。進化の契機が到来したとき、いかなる方法が進化の競争に打ち勝つか。世界の地政学をも重ね合わせ、種と個の支え合いに切り込む。
映画化が話題の「スラムダンク」は、四半世紀を経てもなお、ファンを増やしている。個々の登場人物のひたむきさも魅力のひとつだ。その連載終了後に、著者の井上雄彦が求めた『リアル』の舞台は、車椅子バスケットボールだった。身体の不自由さに苦悩するアスリートの挫折と克服を描く。もがく選手たちを支えるのは、医療関係者たちである。知識と経験をもとに限界を予見しつつ、どこか奇跡に期待する。ときに厳しく、励まし、出会った相手の軌跡に寄り添うことが、医療の醍醐味だ。
Info
⊕アイキャッチ画像⊕
∈『寄生獣』岩明均(講談社)
∈『オメガトライブ』玉井雪雄(小学館)
∈『リアル』井上雄彦(集英社)
⊕多読ジムSeason13・冬⊕
∈選本テーマ:お医者さんに読ませたい三冊
∈スタジオゆむかちゅん(渡會眞澄冊師)
エディスト編集部
編集的先達:松岡正剛
「あいだのコミュニケーター」松原朋子、「進化するMr.オネスティ」上杉公志、「職人肌のレモンガール」梅澤奈央、「レディ・フォト&スーパーマネジャー」後藤由加里、「国語するイシスの至宝」川野貴志、「天性のメディアスター」金宗代副編集長、「諧謔と変節の必殺仕掛人」吉村堅樹編集長。エディスト編集部七人組の顔ぶれ。
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コメント
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2026-02-10
ハンノキの葉のうえで、総身を白い菌に侵されて命を終えていたキハダケンモンの幼虫。見なかったことにしてしまいたくなるこんな存在も、アングルを変えてレンズを向けてみると、メルヘン世界の住人に様変わりする。
2026-02-05
誰にでも必ず訪れる最期の日。
それが、どのような形で訪れるかはわからないが、一番ありえそうなパターンの一つが終末介護病棟での最期じゃないだろうか。沖田×華先生と言えば、自虐ネタのエッセイマンガでよく知られるが、物語作家としても超一流だった。深く死に向き合いたい方は、是非ご一読を。
(沖田×華『お別れホスピタル』)
2026-02-03
鋸鍬形、犀兜、鰹象虫、乳母玉虫、碁石蜆、姫蛇の目、漣雀、星枯葉、舞妓虎蛾、雛鯱、韋駄天茶立、鶏冠軍配、鶉亀虫。見立ては、得体の知れないものたちを、手近に引き寄せたり、風雅に遊ばせることの糸口にもなる。