誰にでも必ず訪れる最期の日。
それが、どのような形で訪れるかはわからないが、一番ありえそうなパターンの一つが終末介護病棟での最期じゃないだろうか。沖田×華先生と言えば、自虐ネタのエッセイマンガでよく知られるが、物語作家としても超一流だった。深く死に向き合いたい方は、是非ご一読を。
(沖田×華『お別れホスピタル』)
「年賀状は今年で最後にします」という最終通告のような年賀状が次々に舞い込む近年、反比例するかのごとく年々ヒートアップする年賀が松岡正剛校長の手元に毎年届けられる。送り主は九天玄氣組。2006年の発足年から欠かさず送り続けており、今年で14年となる(発足前を含めるとトータルで16年)。
毎年趣向は異なるものの、基本は組員の言葉を束ねてクラフト作品に仕立て、新年を寿ぐというスタイルだ。毎年お題を考えるのは福岡在住の中野組長、それをクラフト作品に仕上げるのは北九州のクラフト作家でデザイナーの内倉須磨子である。九天の年賀編集は組の発足と、活動の動脈ともなる重要なポジションゆえに、なにがあろうと死守してきた年越しパッサージュである。
秋ごろになると組長は取り憑かれたように「年賀、年賀」と口にし始めるのが常である。年末の足音を感知する頃、edit cafeの九天ラウンジに組長から「お題」が届く。受け取った組員は、練り上げた「回答」を提出する。お察しの通り、ここまでは師範代と学衆の編集稽古でのやりとりがモデルとなっている。

しかし九天の編集は、その先にあるといっていい。実際に膝を突き合わせて「手作業」をする場を必ず設けることにしている。もちろん参集可能なエリアの組員が主体となるが、このプロセスを経るからこそ、九天年賀に生きた編集が宿る。これまで作った年賀のスタイルは、豆本、巻物、おみくじ、サイコロ、連凧、独楽など、じつに多彩である。干支をひと回りした2018年以降は書籍スタイルに切り替え、もっぱら松岡校長の著書をモチーフにしたオリジナルブックを編集している。『擬-MODOKI-』『少年の憂鬱』と続き、2020年は千夜千冊エディション『ことば漬』をもとに、九天玄氣組エディション『せいごお漬』を編んだ。こちらは近いうちにお披露目したい。

あの「松岡正剛」に喜んでもらえるにはどうすればいいか。半端な年賀は作れない。もちろん焼き直しのような作品などもってのほかだ。限りを尽くして仕上げた作品を宅急便に託してお届けすると、「本年も意外ですばらしい年賀をありがとう」と松岡校長から毎年礼状が届く。そんな九天の年賀作品を、次回より数回に分けて紹介する。まずは九天年賀のクオリティを引き上げる内倉須磨子に組長がインタビュー、おもに2017年までの年賀作品についてふりかえる。
中野由紀昌
編集的先達:石牟礼道子。侠気と九州愛あふれる九天玄氣組組長。組員の信頼は厚く、イシスで最も活気ある支所をつくった。個人事務所として黒ひょうたんがシンボルの「瓢箪座」を設立し、九州遊学を続ける。
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