感門之盟が終盤にさしかかる。
校長校話を継いで、壇上には八田英子律師が登場した。自身の地元である金沢にあやかって、選んだ衣装は加賀小紋。煌めくブルーの地に小花をあしらった着物でステージに立つ。
八田律師は、校長校話で取り上げられたさまざまな商品(オブジェクト)をベースに、「わたしたちの身に回りにある小さなものは、世界の断片に溢れている。それは角度や見方を変えると、得体が知れなくて不思議なものかもしれない。」と語る。
我々は本来、謎めいたアイブロウチップやコップ、電球を当たり前のモノとしか見ていないのではないか。コップは水を入れるだけでない。楽器や武器にもなることに目を逸らしてはいないか。
「マクロからミクロ、ミクロからマクロに視点を動かす。オブジェクトにこそズームインズームを繰り返し、編集力を鍛えるべきだ」と凛々しく告げる八田律師。
力強いメッセージを胸に加賀小紋に散らされた美しい花々に目を凝らし、想像を働かせてみると、いまこの瞬間に別様の可能性が生まれるかもしれない。
“あやか律師”の輝く瞳に肖りたいと、その場に集う誰もが願った。
増岡麻子
編集的先達:野沢尚。リビングデザインセンターOZONEでは展示に、情報工場では書評に編集力を活かす。趣味はぬか漬け。野望は菊地成孔を本楼DJに呼ぶ。惚れっぽく意固地なサーチスト。
SUMMARY 私たちが食べてきたものとは何か。思い返すとそこには過ごしてきた日々の記憶がつき纏う。例えばおやつには家族や友人とのエピソードが潜んでいて、おやつを前にすると誰もが子どもの表情に戻る。小川糸が紡ぐ生死が混 […]
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