鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。
2026年が明けました。そして、学長通信が2年目に入りました。この新年はおめでたいのか、どうなのか、という微妙に戦雲が垂れ込める新年です。
12月に鈴木健さんと対談して、本当に良かった、と思います。この、エディティング・ステートとは正反対のマッチョな日本において、編集能力を拓くことはどういう意味があるのか、熟考できました。発する言葉も、考え方も、行動の仕方も、経済の仕組みも、投票のやり方も、もっとも大事なのは「方法」を考え続けることです。鈴木健さんは、常に新しい方法を考えている人、でした。
方法には目標があります。編集にも目標があります。無目的ではありません。その目的とは「編集的自由」です。松岡正剛校長が述べている中で、以下の2つがとりわけ大切です。
私たち(それら)は、とっくに何かと関係づけられている(relating)。そうだからこそ、もっと関係をふやし、その属性をつなぎあってしまうほうが、楽になる。
私たち(それら)は、もともと制限をうけている(constraining)。しかし制限をうけているということは、そこにいつでもルールを創発させることができるということだ。もっというのなら、いつだって自己修正ルールを生成することができるということである。
私たちが「すでに投げ出された存在」であるからこそ、〈自己編集化〉をはじめられるのだ。〈相互編集化〉がおこるのだ。
「関係をふやし、属性をつなぎあってしまう」こと、「自己修正ルールを生成」し続けること、です。自分を狭めない。手足を縛らない。イデオロギーに呑み込まれない。大樹に依らない。深呼吸して相互編集の中に自分を置く。
年明けから悲観的で申し訳ないけれど、「今のうちにおいしいものを食べておきましょう」と言った人もいます。来年の正月は日本がどうなっているかわからない、という意味です。民主主義とは何があろうと「それを選んでいるのは私たち」という仕組みです。せめて私も、あなたも、間違ったエージェント(代理人)選びをしないよう、「方法」を考え続け、関係をふやし、常に相互編集の中にいるようにしましょう。
田中優子の学長通信
No.14 新年明けまして・・・(2026/01/01)
No.13 『九』の出現(2025/12/01)
No.12 『不確かな時代の「編集稽古」入門』予告(2025/11/01)
No.11 読むことと書くこと(2025/10/01)
No.10 指南を終えて(2025/09/01)
No.09 松岡正剛校長の一周忌に寄せて(2025/08/12)
No.08 稽古とは(2025/08/01)
No.07 問→感→応→答→返・その2(2025/07/01)
No.06 問→感→応→答→返・その1(2025/06/01)
No.05 「編集」をもっと外へ(2025/05/01)
No.04 相互編集の必要性(2025/04/01)
No.03 イシス編集学校の活気(2025/03/01)
No.02 花伝敢談儀と新たな出発(2025/02/01)
No.01 新年のご挨拶(2025/01/01)
アイキャッチデザイン:穂積晴明
写真:後藤由加里
田中優子
イシス編集学校学長
法政大学社会学部教授、学部長、法政大学総長を歴任。『江戸の想像力』(ちくま文庫)、『江戸百夢』(朝日新聞社、ちくま文庫)、松岡正剛との共著『日本問答』『江戸問答』など著書多数。2024年秋『昭和問答』が刊行予定。松岡正剛と35年来の交流があり、自らイシス編集学校の[守][破][離][ISIS花伝所]を修了。 [AIDA]ボードメンバー。2024年からISIS co-missionに就任。
先月は『不確かな時代の「編集稽古」入門』の刊行予告をしました。無事刊行されました。刊行後にもっと詳しく書く、と約束したのですが、その前にぜひ書いておきたい出来事が起こってしまったので、今月はそちらです。 […]
【田中優子の学長通信】No.12 『不確かな時代の「編集稽古」入門』予告
この表題は、もうじき刊行される本の題名です。この本には、25名もの「もと学衆さん」や師範代経験者たちが登場します。それだけの人たちに協力していただいてできた本です。もちろん、イシス編集学校のスタッフたちにも読んでもらい […]
今年の8月2日、調布の桐朋小学校の校舎で「全国作文教育研究大会」のための講演をおこないました。イシス編集学校のパンフレットも配布し、当日はスタッフも来てくれました。 演題は「書くこと読むことの自由を妨げ […]
[守][破][離][花伝所]を終え、その間に[風韻講座]や[多読ジム]や[物語講座]を経験しながら、この春夏はついに、師範代になりました。 指南とは何か、指導や教育や添削とどこが違うかは、[花伝所]で身 […]
【田中優子の学長通信】No.09 松岡正剛校長の一周忌に寄せて
8月12日の一周忌が、もうやってきました。 ついこの間まで、ブビンガ製長机の一番奥に座っていらした。その定位置に、まだまなざしが動いてしまいます。書斎にも、空気が濃厚に残っています。本楼の入り口にしつらえられた壇でお […]
コメント
1~3件/3件
2025-12-31
鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。
2025-12-31
鳥は美味しいリンゴを知っている。リンゴに鳥が突っついた穴がある。よってこのリンゴは美味しい。
──「これは美味しいから」といただいた農家さんからのオマケ。切れば甘味成分ソルビトールが沁みていた。覗いてみたくなる世界は尽きない。
2025-12-30
ほんとうは二つにしか分かれていない体が三つに分かれているように見え、ほんとうは四対もある脚が三対しかないように見えるアリグモ。北斎に相似して、虫たちのモドキカタは唯一無二のオリジナリティに溢れている。