道端でギンナンを見かけるようになった。見上げるとイチョウの青い葉が揺れている。揺れるイチョウといえば明治神宮外苑のイチョウ並木をめぐる議論はいまだに続いているが、両国国技館では隠岐の海の大銀杏がばっさりと切り落とされた。翌日、豪徳寺ISIS館でハサミが入れられたもの――それは応用コース[破]のお題だ。
10月16日(日)開講の第51期[破]に向けて指導陣が一気に用意を加速させる「伝習座」の冒頭、挨拶に立ったのは学匠・原田淳子である。2000年の開校以来50期を積み上げたことの振り返りから語りはじめた。
[破]も50期続けるとみな“うまく”指南ができるようになった。回答をはやく出してほしい、AT賞にエントリーしてほしい、最後はひとりでも多く突破してほしい。そんなおもいから師範代がお手製のワークシートつくって学衆に差し出したりもする。でもそれは学衆を優しくエスコートしているだけ。「問い」に対する「答え」が近くなりすぎている。
目の前にいる新師範代たちに自身のTシャツを見せながら、言葉を続ける。
[破]は稽古をすることで自分を破っていく場。その本来を取り戻していきたい。だから今日は、問感応答返Tシャツを着てきました。稽古でもっと思いきり迷ったり悩んだりしながら、問・感・応・答・返をぐるぐると回してほしい。51[破]は、これまでお題文に添えていた回答例をなくします。
▲学匠のTシャツには、問感応答返の文字が揺れていた
▲初代[破]学匠で現・月匠の木村久美子は『インタースコア』(春秋社)に次のように綴っている。“破では、ノイズや混乱を恐れず、お題の意図をあえて多めに引き受け、自分を過剰にすることがエンジンになる。どこかに突破口を見つけ、果敢に自分の内と外を破る。だからこそ破は「仮留め」と「推敲」のプロセスを重視する。一所に留まらずつねに「情報」を動かし、自らも動き続けるのだ。”
「問」から「答」が一直線ではつまらない。まっすぐ登るための梯子をかければ「あいだ」が一気にやせ細る。楽な近道や便利なツールを問い直し、一旦定着したものを指導陣自らbreak/破ること、それが51[破]のはじまりだ。
与えられたものを鵜呑みにしているだけでは決して手に入らないものがある。隠れた原石に学衆が自ら手を伸ばしたくなる稽古をつくりたい。あらたな本来に向かう51[破]にしていきましょう!
これまで以上に「破る」ことにハイチャージで向かっていく決意をした指導陣たち。51期を積み重ねてもなお、イシスは編集の手を緩めることはない。
▲感門之盟では晴れやかなジャイ子になった一倉広美師範代は、51[守]「五七五クノー教室」から51[破]「マラルメ五七五教室」へキリッと衣替え。マラルメの編集力に肖り、ダントツのメディエーションに挑んでいく。
▲校長松岡正剛による問・感・応・答・返のドローイング。『インタースコア』p.45には次のように書かれている。
”編集学校は言葉のやりとりで成立する学校だが、言葉によってプロクセミクスやエルボーディスタンスを感じられるようにしたかった。それにはメンバー間でテキストを個人間のメールのように勝手にやりとりするのではよくないだろう。短すぎるやりとりでもよくない。ツイッターやラインでは編集学校はつくれないのだ。そんなことをしても、一口カツかスナック菓子かクイズ番組になるだけだ。編集学校はそうではない。「問」と「感」と「応」と「答」と「返」が連環してうまく進むべきだった。
学衆には「答」の幅によって自在感をもってほしい。そうなるには「応」のところで師範代が「さしかかる幅」を見せてあげるしかないだろうと踏んだ。そこに「返」がかぶさってくる。ということは、この学校ではそもそもの「問」(お題)にこそ幅の工夫がなければならないということになる。
そんなことをあれこれ思案して、プログラム(カリキュラム)そのものがそのようなミルフィーユやクレープのような、 薄板界やプロクセミクスのようなものを含んでいるような「お題」をつくるべきだという結論に至ったのだ。その「お題」自体に「問・感・応・答・返」があらかじめ暗示されるようにする。これなら学衆たちは「問」に近づいてなんらかの「感」を得て、師範代の「応」の指南をうけているうちに「7メートルのインターフェース」をまたいだ幅をもってくれるのではないか。それならヴァイツゼッカーの「からみぐあい」や武蔵の「瀬戸を渉る」もおこりそうだった。”
[破]応用コース 第51期
https://es.isis.ne.jp/course/ha
■期間 :2023年10月16日~2024年2月11日
■資格 :[守]基本コース修了者(卒門者)
■プログラム:文体・クロニクル・物語・プランニング編集術
■申込みはこちら:
https://shop.eel.co.jp/products/detail/544
福井千裕
編集的先達:石牟礼道子。遠投クラス一で女子にも告白されたボーイッシュな少女は、ハーレーに跨り野鍛冶に熱中する一途で涙もろくアツい師範代に成長した。日夜、泥にまみれながら未就学児の発達支援とオーガニックカフェ調理のダブルワークと子育てに奔走中。モットーは、仕事ではなくて志事をする。
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