「響いている、響きあっているね」。
ステージのうえでは、編集学校の師範代、師範、学匠らが感門を言祝ぎ、稽古の日々をふりかえりながら言葉を尽くして語っている。
休憩タイムに入ると、すっと席を立って会場の散策へ。
古い木箱をあしらった松丸本舗のしつらえに目を留め、「本の並びにも意味があるよね」とたずねる。ブックショップエディター大野哲子さんの説明に頷きながら、「キーブックは今、手に入りにくい本も多いんじゃない」と、さらに話がはずむ。
九天玄氣組の展示では、校長への年賀として作られた飾り山笠の豆本を手に取り、愛でるかのように捲っている。本楼でのISIS FESTA(10/23『孤高の響き』藤枝守×今福龍太)を控え
小島伸吾組長はじめ曼名伽組の面々によるVANKISY CAFEでは、ブラジル産の豆を使った「今福クレオール」を手に、「コーヒー豆はあくまで輸出用のもので、現地の人は大豆を炒ったものを飲んでいたんだね」と歴史談義で盛りあがっていた。
手製本をつくる妻の明子さんとともに、台湾のアートブックフェアに毎年、参加する今福さんは、今日のような小さなブースがいくつも集まった催しが好きだという。「モノを介して対話が生まれる、それが楽しいんだよね」。今福さんのふるまいから、そのおもいが伝わってくるとともに、『ぼくの昆虫学の先生たちへ』に書かれた、好奇心いっぱいに蝶を追いかける今福少年の姿も、うっすら浮かんできた。
会場のあちこちをめぐり、最後に今福さんは「セイゴオさんの赤入れしたテキストが見たい」と、会場の奥に展示された「離」の文巻に向い、腰をかがめて松岡校長の書き込みに、じっと見入っていた。
帰りぎわ、はにかみながらツーショット写真を求める人たちに、こころよく応じる今福さん。
「響きあっているね」。
会場のそこかしこで、今福さんの笑顔と声も響和していた。
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編集的先達:松本健一。ロックとライブを愛し、バイクに跨ったノマディストが行き着いた沖縄。そこからギターを三線に持ち替え、カーネギーで演奏するほどの稽古三昧の日々。知と方法を携え、国の行く末を憂う熱き師範。番匠、連雀もつとめた。
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