ISIS co-mission今福龍太さんの番期同門祭~響きあう声に誘われて【84感門】

2024/09/27(金)12:00
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「響いている、響きあっているね」。

 ステージのうえでは、編集学校の師範代、師範、学匠らが感門を言祝ぎ、稽古の日々をふりかえりながら言葉を尽くして語っている。

ISIS co-missionのおひとり、今福龍太さんは、松岡正剛校長の面影が宿るディレクターズチェアの傍らで、口元をほころばせ、ときどきメモを取りながら、ひとりひとりの声に耳を傾ていた。

 

 休憩タイムに入ると、すっと席を立って会場の散策へ。

 

 古い木箱をあしらった松丸本舗のしつらえに目を留め、「本の並びにも意味があるよね」とたずねる。ブックショップエディター大野哲子さんの説明に頷きながら、「キーブックは今、手に入りにくい本も多いんじゃない」と、さらに話がはずむ。

 

 

 九天玄氣組の展示では、校長への年賀として作られた飾り山笠の豆本を手に取り、愛でるかのように捲っている。本楼でのISIS FESTA(10/23『孤高の響き』藤枝守×今福龍太)を控えた中野由紀昌組長に、「時間が許せば、ひとつひとつ全部見たいね」とつぶやく。

 

 

 小島伸吾組長はじめ曼名伽組の面々によるVANKISY CAFEでは、ブラジル産の豆を使った「今福クレオール」を手に、「コーヒー豆はあくまで輸出用のもので、現地の人は大豆を炒ったものを飲んでいたんだね」と歴史談義で盛りあがっていた。

 

 

 手製本をつくる妻の明子さんとともに、台湾のアートブックフェアに毎年、参加する今福さんは、今日のような小さなブースがいくつも集まった催しが好きだという。「モノを介して対話が生まれる、それが楽しいんだよね」。今福さんのふるまいから、そのおもいが伝わってくるとともに、『ぼくの昆虫学の先生たちへ』に書かれた、好奇心いっぱいに蝶を追いかける今福少年の姿も、うっすら浮かんできた。

 

 会場のあちこちをめぐり、最後に今福さんは「セイゴオさんの赤入れしたテキストが見たい」と、会場の奥に展示された「離」の文巻に向い、腰をかがめて松岡校長の書き込みに、じっと見入っていた。

 

 帰りぎわ、はにかみながらツーショット写真を求める人たちに、こころよく応じる今福さん。

 

 

「響きあっているね」。

 会場のそこかしこで、今福さんの笑顔と声も響和していた。

 

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 人との語らいを大事にする今福龍太さんは、明子さんとともに滋賀の長浜にある古民家をつかって、共読会を続けている。多読アレゴリア「群島ククムイ」に参画するいっぽう、近江ARSのメンバーでもある阿曽祐子さんが、その様子を生き生きとレポートしているので、あわせて読まれたい。

霧中からひらく新たな「わたし」――今福龍太さん・第3回青貓堂セミナー報告

 

 じかに、今福さんの声に触れられるイベントも開催間近だ。当日は、今福さんとともに遊ぶ「群島ククムイ」の紹介も予定されている。

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  • 渡會眞澄

    編集的先達:松本健一。ロックとライブを愛し、バイクに跨ったノマディストが行き着いた沖縄。そこからギターを三線に持ち替え、カーネギーで演奏するほどの稽古三昧の日々。知と方法を携え、国の行く末を憂う熱き師範。番匠、連雀もつとめた。