林朝恵 – 遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア https://edist.ne.jp Fri, 08 Nov 2024 09:16:01 +0000 ja hourly 1 https://wordpress.org/?v=6.5.5 https://edist.ne.jp/wp-content/uploads/2019/09/cropped-icon-512x512-32x32.png 林朝恵 – 遊刊エディスト:松岡正剛、編集工学、イシス編集学校に関するニューメディア https://edist.ne.jp 32 32 185116051 【劇団こまつ座】2度観ても笑撃、井上ひさしの『太鼓たたいて笛ふいて』 https://edist.ne.jp/just/komatsuza_taiko_2024/ https://edist.ne.jp/just/komatsuza_taiko_2024/#respond Fri, 08 Nov 2024 23:15:29 +0000 https://edist.ne.jp/?p=78247 こういう作品は何度でも見たくなる。この物語を生きる人たちといつまでも茶の間で笑い続けたくなる。

 

2024年11月初旬、紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYAで、井上ひさしの戯曲『太鼓たたいて笛ふいて』を観劇した。演出は栗山民也、出演者は、大竹しのぶ、高田聖子、近藤公園、土屋佑壱、天野はな、福井晶一、そしてピアノ演奏は朴勝哲だ。『放浪記』で人気を博した作家・林芙美子の後半生を描いた評伝劇を楽しくも悲しいピアノと歌、台詞のミックスで描いている。

 

実はこの劇を私は1週間で2回観た。初回で十分に満足度が上がっていたので、2回目にこれ以上があるものかと少し不安もあったが、予想はあっさりと裏切られた。2回目の方が役者の言葉ひとつひとつが粒立って聞こえてくるし、歌のメロディは鼻歌したくなる。舞台で起きるいちいちのことに心ゆさぶられた。観客の笑いや涙に感染し、大竹しのぶの声とゆらぎ、近藤公園の怒涛の岩手弁に飲み込まれる感覚もよかったが、やはり井上ひさしが書いたこの「メタな物語」「キャラクターの突出」「巧みな言葉遊び」に中毒性があるのだ。いつまでも何度でも見ていたい。

 

この舞台は一人の作家の生き様を中心に描いた「物語」だが、奥から見えてくるのは、昭和の負であり権力者たちが作った世界の「物語」である。その負の物語は、10月に刊行された松岡正剛と田中優子の対談本『昭和問答』の中で語られている事にも重なる。一部抜粋すると、戦争から降りられなかった日本について松岡は、「井上ひさしはその矛盾を笑いにまぶして芝居にしていった」と記している。矛盾に蓋をする世に対して「書く」ことで抗った芙美子の人生に、井上の人生も重なって見えたからこそ胸を打たれた。

 

ISIS co-missionの井上麻矢さん(劇団こまつ座代表)から編集学校に届いた言葉を紹介したい。

「太鼓たたいて笛ふいて」…は物語を紡いだ林芙美子の物語、時代や国の物語、一人ひとりの愛すべき人々の物語と三重構造の物語にまつわる物語です。

 

この物語が令和の今にもつながる物語であること、「書く」ことに命をかけた人の物語であることも加えておきたい。
公演は年末まで場を移しながら続く、ぜひ2度は足を運んでみて欲しい。


【公演情報】
https://www.komatsuza.co.jp/program/#more470

11/1(金)- 11/30(土)東京都 紀伊國屋サザンシアターTAKASHIMAYA

12/4(水)- 12/8(日)大阪府 新歌舞伎座

12/14(土)- 12/15(日)福岡県 キャナルシティ劇場

12/21(土)- 12/22(日)愛知県 ウインクあいち(愛知県産業労働センター)

12/25(水)山形県 やまぎん県民ホール(山形県総合文化芸術館)

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【追悼】松岡正剛のひっくり返し https://edist.ne.jp/post/tsuito_hayashi/ https://edist.ne.jp/post/tsuito_hayashi/#respond Tue, 03 Sep 2024 08:14:12 +0000 https://edist.ne.jp/?p=74794 本楼にある黒いソファを移動して、その脇に求龍堂の『千夜千冊』と角川の『千夜千冊エディション』を並べて松岡さんを迎えた。2度目の肺癌で入院する直前の2021年4月初旬、急遽、オンランイベント「千夜千冊の秘密」で語り切れなかった秘密について、インタビューを依頼したのだ。撮りためた映像をつなぐには松岡さんの語りを撮っておきたかった。初めての試みだった。撮影は後藤由加里さん(倶楽部撮家)と寺平賢司さん(松岡正剛事務所)も協力してくれた。

 

最初に座る場所を松岡さんに確認すると、「場所はどこでも構いません、大事なのは内容ですから」と言われた。思わず後藤さんと顔を見合わせた。色んなイベントの準備で常に設営にこだわってディレクションしていたので意外だった。続けて「質問の確認をしましょうか」とシナリオを見せようとすると、「いりません、演出はそちらに任せます」と返された。リハを徹底する松岡さんが収録とはいえ、事前に何も確認せずに本番に入るというのは拍子抜けだった。ただ一つ見たのは、撮影モードとして用意した、プロが撮った数々のポートレート集だった。資料写真を見ると、「うん、いいんじゃない」と納得したような表情だった。この一連を私なりに解釈すると、これは松岡流のひっくり返しだったような気がしている。何も言われないことの重み。

 

インタビューがスタートすると松岡さんは言葉に溢れていた。こちらの緊張を跳ね返すようだった。撮影後、「藤本晴美の質問のタイミングは早過ぎたよ」とだけ指摘された。そして、「調べたことの確認になってないのは良かった」と褒められた。テクニカル面で途中、待たせる場面もあったが何も言われなかった。これがプロかこれが松岡正剛か。波にのまれるような、乗せられるような感覚だった。入院前で体調が万全でなくても、こちらの腕がなくてもザバーンと高いレベルに持っていってしまう。

 

2024年5月11日の41[花]入伝式、再びインタビューの機会が巡ってきた。撮影プロジェクトではなく、花伝所の花目付として、私はインタビュアーを務めた。配信用カメラとは別に、自身の記録カメラも手元に置いた。まさかこれが松岡さんとの最後の場面になるとは想像もしなかった。

 

この時は、本楼で事前のリハーサルもあった。「確信を持って聞きなさい」「聞きたいことを聞くだけでなく、僕を感動させてくれないと」「林は、もっとコストをかけなさい」と次々、檄が飛んだ。演出や設営について、事前にスタッフと密に交わしていなかったことも指摘された。実はここ数年は叱られることの方が多かった。いま思えば、2021年の初インタビューは、松岡さんが全てを引き取って、こちらを自由に泳がせてくれていたのだろう。いまは、もっと波を起こしていく側になり、プロっぽくやらなければならなかったのに、圧倒的に足りてなかった。花目付としても松岡さんを追いかける記録カメラとしても大きな負債を抱えたままなのだ。第83回感門之盟のタイトルでもあった「EDIT TIDE」はそのまま自分に与えられた「お題」になった。

 

間に合わないことだらけだったが、松岡さんが耳元で囁いているような気がする「編集はひっくり返しを起こすことですよ」と。

 

▼校長・松岡正剛の最後の登壇となった、入伝式のインタビュー動画(5分)をご覧いただきたい。

林が手元でインタビューしながら撮影した映像を編集した動画です。松岡さんがお題の作り方を明かしています。

 

文・撮影・編集 林朝恵(花目付、倶楽部撮家)

アイキャッチ写真 後藤由加里(倶楽部撮家)

 

 

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41[花]編集三世代のダンダン放談 https://edist.ne.jp/cast/41hana_3generation_hodan/ https://edist.ne.jp/cast/41hana_3generation_hodan/#respond Sat, 17 Aug 2024 23:02:31 +0000 https://edist.ne.jp/?p=74436 ミームとは一体なんだろうか。
編集学校でよく登場するこの言葉を松岡正剛校長は「意伝子」と訳しているが、何がどう伝承されているのかは漠然としている。

「お題ー回答ー指南」というテキストベースの編集稽古をしている中で一体なにが受け渡されているのか。41[花]では、たまたま指導陣の中にかつての師範代と学衆という組合せが三世代集うことになったので、ゆるっと編集学校について鼎談をしてみることにした。3人の間に伝達されていると思しきミームがあるのかどうか、編集談義をする中で発見したい。

 

◎編集三世代◎

花目付・林朝恵   [33守] コーニス途中教室・学衆

          [36守] 影感モンタージュ教室・師範代

錬成師範・宮川大輔 [36守] 影感モンタージュ教室・学衆

          [40守] 粘菌櫻座教室・師範代

花伝師範・森本康裕 [40守] 粘菌櫻座教室・学衆

          [46守] 弓心一射教室 教室・師範代

 


《花伝所体験》
林 :いやあ、このメンバーで集うのは初めてですね。宮川師範は初の錬成師範ロールでしたが編集学校はしばらくぶりですよね。

 

宮川:数年ぶりに戻ったなあって感じです。以前、[守] の師範をやってましたが、花伝所は学衆から師範代へと着替える場所です。ピリッとズバッと言う指導が大変でした。

 

林 :同じ師範ロールでも講座によってモードって変わるんですよね。

 

宮川:林花目付も師範代だった時とはぜんぜん違いますよ。

 

森本:今期、初めて花伝師範をやってますが、錬成師範の時とも変わっています。宮川師範が受講していた当時と比べて花伝所ってどうですか?

 

宮川:僕が受講した時とは場の雰囲気とか随分違います。その頃は道場内での交流は少なくて、それぞれ黙々と演習する意識が強かったです。今は道場内での対話を重ねていくスタイルです。花伝所の指導方法も実績が積み重なり、錬成の時には、指南がうまいと思う人が多いです。その分、凹凸は減ったのかもしれませんが。

 

林 :凹凸するのは、師範代になってからだと思います。花伝所は型の学びが徹底される段階なので、まずはいろんなモノを削ぎ落として、真っ新な状態で型を入れてく感じ。なので多くの方は、教室を受け持ってから、途端に化けていきます。

 

森本:お二人は何で師範代をやろうと思ったんですか?

 

宮川:最初は師範代登板までは具体的に考えてなかったです。どちらかというと、どうしたら師範代みたいなことができるのだろうかという好奇心の方が入伝時は大きかったです。放伝(修了)してみたら、よっぽどの事情がない限りは師範代をやった方がいいということが理解できたのですが、不安で少しグズグズしていたところ、田中晶子所長の「やるよね!」という言葉に背中を押され、飛び込みました。

 

林 :押し切られましたね。潔く自分で手を上げてスパッとやりますって言えたらカッコいいけど、私もグズグズしてました。仲間と敢談儀(修了式)前に新宿に集って「師範代認定されたらどうする?」みたいな話をしたりして。でも、グループ面談の時に、佐々木千佳局長が団子をふるまってくれるんですよ。でね、パクッとしたら。「あっ食べましたね」ってニコッとするの。もうね、団子を食べたら師範代に一直線ですよ。当時、局長の団子で決意した師範代は結構いたんじゃないかな。自信のない人にとっては、勇気の団子が必要なんです。

 

森本:僕は元々は[守] だけのつもりで入門したのですが、「守破は義務教育だよ」って宮川師範代に言われて、えっ、と思って次に進みました。でも直ぐに花伝所には行かず、まず[離] を受講しました。その時の仲間に師範代経験者がたくさんいて、「方法が違って見えるよ」と言われていたので、入伝する前から師範代をやるつもりでした。なので登板に迷いはなかったです。むしろ、なれなかったらどうしようってのが心配でした。だから、団子無しで師範代になりました。


《教室体験》
林 :お二人の[守] はどんな体験だったんですか?

 

宮川:影感モンタージュ教室はノリのいい人が多くて、とにかく教室の雰囲気がよかった。あだ名で呼び合ったり。コンちゃん(52[破]吉田麻子師範 )みたいにキレた回答する人がいたり、小学5年生の子がいたり。いろんな回答が溢れてました。お題の面白さはもちろんなんだけど、林師範代が乗せてくれてたので、仕事で本の配達をしている合間とかにも稽古してました。

 

林 :宮川さんは山梨の本屋さんでしたね。学衆時代は、お題の意図をつかむのが早かったからお手本にしてる人もいたと思いますよ。稽古は遅れることもありましたが、お題を少しためてしまった序盤に、「明日やろうは馬鹿野郎だ」とスポーツ選手の言葉を引用して自分を鼓舞していたことがあり、驚きました。

 

宮川:そんなこと書いてましたっけ笑。すぐ先延ばししてしまいます。

 

森本:優等生だったんですね。粘菌櫻座教室では、最初に「芸人の宮川大輔ではありません」って登場して、いきなり場をほぐしてくれた感じがします。指南でもみんなを乗せてくれて楽しかったです。印象に残ってるのは、最後のお題38番目の締切2日前に全員卒門できたことです。これは誰も真似できない。

 

宮川:最終の締切日(卒門日)に外せない出張があって、当日に檄を飛ばすことはできないので、「できれば、回答早めに出してね」とお願いしたんです。自分は締切当日、ギリギリの卒門で、林師範代をハラハラさせました。提出のうっかり忘れの人がいたら困るので、リアルにみんなが集まる汁講(オフ会)でも、早めに出すようにアナウンスしておきました。

 

森本:勧学会の「DJアニキ」も真似できないなあと思いました。

 

宮川:勧学会でみんなが交わしあえる場として「櫻座ラジオ」を立ち上げて、「ヘイ!みんなのってるかーい!」なんてノリで、投稿を呼びかけたのがスタートでしたね。自分を捨てないとできない。学衆のみんなにラジオネームも決めてもらって、やっと投稿が増えました。森本さんは「もりもっち」でしたね。

 

森本:「もりもっち」気に入ってましたよ。はっちゃけてやろうって気分になりました。

 

宮川:林師範代は、[守] の編集コンクール、番ボー(番選ボードレール)で自分の「ハヤシ」という名にちなんで祭囃子に着替えて指南をしてましたよね。かなり盛り上がった。お祭りモードに乗せられてトンチンカンな回答出したら、叱られましたけど。

 

林 :祭囃子の名乗りをいいことにズバッとやらせてもらいました。番ボーってやはり特別なことを起こす場だから師範代が率先してそれを体現していきたいという狙いがあり着替えは意識しました。出身教室の高萩健師範代がお祭りモードだったことや盛り上げ役の学衆がワッショイ、ワッショイとやってる雰囲気も思い出しながらモードを作りました。実際、番ボー期間には、少し稽古から遠ざかってた人が戻ってきたり、彩回答が増えたり、今まで見えなかった学衆の編集的な特徴が見え始める機会になりました。中でも印象的だったのは、教室内のキソイ。小学生の学衆が金賞を取ったら、「素晴らしい金賞です。でも、悔しいです」と大きいお子さんもいるような中年の学衆が率直に思いを言葉にしていて、ハッとしました。編集に賭ける思いに年齢は関係ない、二人は切磋琢磨する同志なんだなあと思いました。だから冷静でなんかいられない。他のみんなも「くやしい」って本当は言葉にしたかったんだと思います。

 

森本:番ボーは師範たちが作品の選評をしてますが、ある師範は、うちの教室の作品を一つも選んでくれなくて、たまらなく悔しかった。でも講評をよく読むと、なぜ選ばれなかったかということがよく分かって、学衆も納得してくれてました。その時、自分の担当師範だった、江野澤由美師範は、番ボー作品について交わし合うコーナーを設け、教室を越えて学衆同士のメッセージ交換が起こりました。それがとてもありがたかった。色んな作品に光が当たりました。こうやって次に繋げるのが編集なんですよね。

 

林 :師範代って学衆と同じ位に、嬉しかったり、悔しかったり、一喜一憂してしまうから、見守ってくれる師範の存在ってすごくありがたいし、編集学校ならではの関係性だなあと思います。上司部下とか先輩後輩みたいな関係とも全然違う。

 

宮川:[守]の景山和浩師範は温厚な感じで見守り型、[破]の大音美弥子師範は熱く厳しく指導する人で、色んなタイプの指導を受けることができました。そうした一様ではない伴走をしてくれることで、自分のやり方に対してさまざまな変更をかけることもできたと思います。とても影響を受けました。影響といえば、感門之盟の時だったかな、「林師範代のマネして指南してます」って林師範代に言ったら「全然似てない」って言われました。

 

林 :えっ、そんなこと言ったかな。原型がほとんどわからない位に換骨奪胎して指南をすっかり自分のものにしてたからですよ。私よりずっとユニークな指南だったと思います。私は[破]の師範代の時に、参考として見せてもらった野嶋真帆師範代の指南をマネしていたんですが、担当の森井一徳師範に「ウソだろ、全然似てないよ」って言われました。本人が「マネる」というコトと他人から見て「似てる」の間には違いがあるんでしょうね。型として指南をマネるというのは、ものまね芸人がやっているような、ソックリに仕立てるというのとは、違うんだと思います。それは指南が回答とか場によって変わってしまうからかもしれない。自作自演とは違うところがある。

 

宮川:マネるといえば、僕のきょうだい教室の師範代は物語を綴るような生気ある指南を書ける人だったのですが、全然キャラ違うし、到底マネできないと思いました。他にも洗練された指南を書く人が同期にはたくさんいたのですが、時々、そうした指南を読んで憧れてはみたものの、「この方向は無理だな」って思いました。ですが、それが自分の師範代としてのスタイルを決めるキッカケになりました。自分の教室の世界観を作るしかないってなった。とにかく、いろんな回答を出してもらい、共読してもらうことに重点をおくことにしようと、学衆の人たちの可能性に賭けてました。だから、いつも「いろんな回答来てくれー」って願ってました。

 

林 :あはは、そこは私も似た所あるなあ。36[守] はお題改編直前という境目の期だったのですが、新人からベテランまで入り混じったメンバーでした。同期には、フェラーリみたいな深谷もと佳師範代や繊細に編集工学の奥へと導く山田小萩師範代、再登板組にはレジェンドと呼ばれるような方々、野嶋真帆師範代や小川玲子師範代、村井宏志師範代、岡本悟師範代と傑物揃いで、とんでもない所に来てしまったと思いました。自分の未熟さが恥ずかしくて、仕方がなかった。だから、必死だったし、学衆のみんなに自分で発見してもらうことを信じるしかなかった。ほんと「いろんな回答来てくれー」って祈ってました。なので、いつも学衆に助けられるばかりの隙だらけの師範代でした。ああ、これがミームなのかな。

 

森本:僕は花伝所の指導で「これは評価じゃないって」言われたことがあったので、自信を持って師範代をやるというのとは違ってました。ただ、宮川師範代の教室が全員卒門だったから、それを最初は目指してしまって、でもそれじゃ無理だということを、やってみて気づいて、親離れしました。そこからは、自分の教室というものを試行錯誤しながら作っていきました。やっぱり無理を知るって大事ですね。

 

《松岡正剛校長との出会い》

林 :お二人は、松岡校長の千夜千冊とか著書を読んだことがキッカケで編集学校に入ったんですよね。実際に松岡校長と出会ってみて、どうでしたか?ちなみに、私は倶楽部撮家でお馴染みの後藤由加里師範から編集学校を紹介してもらったことがスタートでした。

 

森本:編集学校に入っても、しばらくは遠い存在でした。師範をやるようになってから、距離が近づきました。[守] の伝習座の用法解説の講義や入伝式の講義を担当した時のリハーサルで、直接ディレクションをいただく機会があり、もっとこうすればいい、ということを言ってくれるのですが、スゴイ見抜かれてるなと思いました。直近では、「森本はもっと助けられた方がいい、失敗した方がいい」と言われました。

 

宮川:僕も[守] 師範になった時、伝習座で『少年の憂鬱』を語る担当になり、焦点が定まらない話し方をしていて、そのリハーサルで「射抜け!」と一喝のディレクションをされて、正解はないけど不正解はあるんだということを知りました。

 

林 :校長は伝習座や入伝式のリハーサルには必ず出席して、ディレクションしてくれるんですよね。どんなに疲れていても忙しくても言葉を尽くしてくれる。ちなみに、私の松岡校長との出会いは、編集学校に入ってからなんです。千夜千冊や著書を読んだり、講義を聞いたり、たくさんの仕事を跨いでいることを知れば知る程、とんでもない人と場を共にしているんだと実感します。例えるなら、歴史上の人物、空海とかダ・ヴィンチと場を共にするってこんな感じなのかなと思ったり。校長からは、たくさんディレクションをもらったし、他の人へのディレクションを見る機会もありましたが、ほんと誰にも言えないようなことを事を言うんですよ。「林はとにかくワルツを踊ればいいんだ」とか「もっと欲しがりなさい」とか、頭の中が一瞬「???」になるのですが、そういう言葉がいつまでも残っているから不思議です。さて、そろそろ鼎談も終わりに近づいてますが、これからの編集道について聞かせてください。

 

森本:編集には、ずっと関わっていきたいし、変わりゆく編集学校にも関与していきたいと思っています。そろそろ森本はいいかなって言われない限りは、やり続けたい。野望と言える程の大それたものがあるかと言われると悩ましいですが、離れるつもりはないです。

 

宮川:編集学校ってほんと不思議で、熱量もすごい、大変なときもあるけど、それ以上に楽しいし、印象的な出来事がたくさんあります。入伝式の時に松岡校長が我々に「任せたよ」って言葉は胸に響きました。編集道はこの先もずっと続いていくものだと思いました。

 

林 :私は「松岡正剛」をお題にしていきたいです。それを花伝所や編集学校の仲間と一緒に実践していきたい。複雑でいろんな物が出入りしていて、どこまでいっても奥があって、QがQを連れてくる。この編集モンスターの謎に迫ることは、好奇心を発動させますし、別の世界を知ることでもあると思っています。

 


 

編集三世代の鼎談は、一家団欒、ダンダン放談でした。3人が薄い膜でつながるような、懐かしいような気分になりました。編集学校のB面もチラッと見せながらでしたが、次の世代が続いてくれたら、四世代、五世代と束になって再びダンダン放談してみたいです。

 

アイキャッチ 宮坂由香(錬成師範)
文・編集 林朝恵(花目付)

 

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https://edist.ne.jp/cast/41hana_3generation_hodan/feed/ 0 74436
【花伝所プレゼンツ・エディットツアー】8/31(土)師範代の編集術でコミュニケーションがかわる https://edist.ne.jp/just/hanatour_240831/ https://edist.ne.jp/just/hanatour_240831/#respond Wed, 07 Aug 2024 09:38:04 +0000 https://edist.ne.jp/?p=74220 言葉は通じるためにありますが、必ずしも通じるとは限りません。

 

コミュニケーションは「通じる」「通じない」の覚束なさの中で生まれます。両面性があるからこそ、言葉を選ぶ力、たくみに連ねる方法を学ぶことが求められるのでしょう。それは、安直な通じやすさ、わかりやすさからあえて離れてみることでもあります。

 

編集学校には、「編集は対話から生まれる」という松岡正剛校長の言葉があり、相互に言葉を交わし合う、編集の場が用意されています。その場の亭主となる師範代(編集コーチ)は、次々とお題を出題し、それに学び手である学衆が回答で応じていきます。そこに、一つの正解はなく、師範代は多様な回答に指南で光を当てることで、学衆の新たな可能性を開いていきます。エディットツアーでは、花伝所の師範たちによる型の講義やリアル編集ワークを通して「師範代のコミュニケーション」の一部を特別に体験していただきます。

 

花伝所はその名を世阿弥の『風姿花伝』に肖り、師範代の型を物学(ものまね)することで、理解を深めることを重視してます。コミュニケーションは「エディティング・モデルの交換」と言い換えられ、相互編集の「型・技」として価値を高めていきます。


花伝所の本講座は[守][破]を修了した人向けですが、エディットツアーはどなたでも参加ができます。はじめて編集学校を知ったという方、コミュニケーションや師範代ロールに関心がある方、もっと編集工学を深めたいという方、まずはエディットツアーで「花伝所の型の学び」を体感してください。


エディットツアースペシャル [ISIS花伝所]
「ISISの宝刀、師範代の編集術」オンライン開催

 

■日時:2024年8月31日(土)14:00-16:00
■費用:1,650(税込)
■会場:オンライン(お申し込みの方にZoomアドレスをご案内します)
■人数:限定20名様(先着順)
■対象:どなたでもご参加いただけます
■ナビゲーター: ISIS花伝所 師範(平野しのぶ、吉井優子、嶋本昌子、森本康博、中村裕美、新垣香子、林朝恵)
■内容:編集学校の花伝所で学べる方法をご説明します。独自の「編集稽古」をワークショップ形式で体験いただけます。
■お申し込みはこちらから:

https://shop.eel.co.jp/products/detail/743


 

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【Portrait Shot #02】高本沙耶が撮られた背中! https://edist.ne.jp/cast/portrait02_saya/ https://edist.ne.jp/cast/portrait02_saya/#respond Sat, 27 Apr 2024 23:05:48 +0000 https://edist.ne.jp/?p=70781 シリーズ化が決定しました!
倶楽部撮家でもおなじみの写真家・後藤由加里がイシス編集学校に関わる人たちをモデルにして撮影をしていく企画です。後藤はライフワークとして、松岡正剛を撮影し続けていますが、並行して昨年より新しいモデルを発掘していくことをスタートさせました。第一弾では、遊刊エディスト副編集長の金宗代の瞬発力ある身体表現を撮りましたが、第二弾は花伝所の錬成師範を務め、ドローン系の会社にも勤務する、高本沙耶をモデルに起用しました。感門之盟で登壇する高本のスラリとした立ち姿に見惚れて、次はこの人と密かにあたためていたようです。


 

撮影は2024年3月某日、代々木のフォトスタジオで行われた。撮影で大事なのは、互いの呼吸を合わせること、信頼関係を結ぶこと。スタジオに入る前、近くのカフェでざっくばらんに編集学校のこと、家族のこと、互いのバックグラウンドについて交わし合い距離を縮めていった。それでも、いざスタジオに入ると高本は「モデルなんて、ほんまに初めてなんですよ。どうしよう、めっちゃ恥ずかしい」と漏らした。高本の緊張をよそに後藤は淡々と準備を進めていった。スタジオは撮影のモードだけが充満していく。

 

ここからは、高本のポートレートショットを記録と合わせてご覧いただきたい。

 

白ホリの前の椅子に腰かけるドレスを纏った高本。後藤のオーダーはあえて笑顔を封印すること。高本の表情から笑顔が消え、緊張感と共にクールさが際立っていく。ポーズを変えることも、すんなりとやってのける高本、得意を封印することが新しい編集を起動させることもあるのだ。


シーンごとに写真をチェックしながら、感想を交わし合う二人。お気に入りのTシャツ「虚実の皮膜」を着た写真を見て思わず笑顔がこぼれる高本。虚実皮膜は花伝所時代に学んだ方法日本のキーワードであり、松尾芭蕉の「虚に居て実を行ふべし」に通じている。撮影もまた虚に遊ぶようなものである。

 

後藤による、この日のベストショット。

 

 

 

 

 

 

 

あっという間に撮影は終了。高本は高揚しながら、「後藤さんが集中して撮影している姿を見ていたら、もう恥ずかしいなんて言ってられないと思って、集中できました」と語った。

その日のうちに後藤から写真が送られ、「いやあ、別人ですね」と高本は驚いた。どんな「わたし」が潜んでいるのか、本人も知らなかった「たくさんの私」が開いていく、マジカルな体験が撮影には起きるのだ。


写真 後藤由加里
文・記録写真 林朝恵

 

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https://edist.ne.jp/cast/portrait02_saya/feed/ 0 70781
インスタのストーリーもTIDE来る!【83感門】 https://edist.ne.jp/just/kanmon83_club_insta/ https://edist.ne.jp/just/kanmon83_club_insta/#respond Sat, 16 Mar 2024 06:49:18 +0000 https://edist.ne.jp/?p=68737 きたきたー!波さわぐ、ゴジラも驚く「第83回感門之盟」Day-1がスタートしました。
松岡正剛校長は「編集学校は船に乗ること、誰かを船に乗せること」と冒頭の挨拶で語ってましたが、それって、この大海原を我々が共に渡る方法があるということですよね。

さて、お気づきの方もいるかもしれませんが、感門之盟の場面はインスタのストーリー写真でもご覧になれます。リール動画では、豪徳寺にある編集工学研究所へ歩いたかのような感覚になれる動画を見ることもできます。感門はいくつもの味わい方があるのです。

 

感門のテーマ「EDIT TIDE」がデザインされたボトルが参加者に配られれます。(インスタから配信)

 

遠藤健史師範(左)と若林牧子遊筆(右)による前説がオンライン参加者を盛り上げました。(インスタから配信)

 

インスタでは感門の表舞台だけでなく裏舞台も追いかけます。ここでしか見ることのできないアナザーな感門の風をインスタから感じてみませんか。ストーリーには時間制限があります。合言葉は「手元にスマホ、逃さず見よう」。みなさんのフォローをお待ちしております。

 

Instagram(@isis_editschool)
https://www.instagram.com/isis_editschool/

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【花伝所スペシャルEdit Tourレポート】師範代モデルで「カワル」を体験! https://edist.ne.jp/post/40hana_et_240303/ https://edist.ne.jp/post/40hana_et_240303/#respond Mon, 11 Mar 2024 10:20:49 +0000 https://edist.ne.jp/?p=68281 花伝所の秘伝で何がカワル?
3/3(日)雛祭りの日、日差しが降り注ぐ午後、18名の参加者がオンライン・エディットツアーに集った。入門前の初心者から[守・破]を修了した学衆(受講生)まで相互に混ざりながら、編集ワークやレクチャー、突然投げかけられる「問い」に汗かきながら、あっという間の2時間を過ごした。

 

案内役は、40期の指導陣である花目付と師範たち、加えて花伝所を修了したばかりの次期師範代(編集コーチ)がサポート役として参加した。林朝恵花目付の進行でスタートしたツアーの模様をダイジェストでお届けしよう。

 

■自己紹介ワーク

吉井優子師範のナビゲートによる自己紹介ワークは、部屋に「ないもの」から語られる自己のプロフィールだ。三角がない、テレビがない、アート作品がない、太陽の光がない、等々、「ない」ものから、それぞれの注意のカーソル(アテンション)が向かった先が表れる。どうして「ない」のかという理由から、個々の趣味嗜好、仕事や事情、スタイルなど、その人の内外に「ある」何かが引き出されていく。

 

 

■「師範代の方法」レクチャー&インタビュー

中村麻人花目付は、「師範代の方法」をレクチャーやリアル問答を通して伝えていった。「編集(工学)とは?」「編集稽古とは?」「どうして編集稽古を続けているのか?」という根源的な問いからスタートし、世阿弥が著書『花鏡』で記した「離見の見」という視点、「相互編集」にも「型(モデル)」があり、それを師範代は方法として体得しているということを明かした。

 

■編集指南ワーク

メインコーナーとなる「指南ワーク」は古谷奈々師範と嶋本昌子師範が進行。参加者は編集学校で実際に使っている「お題」に回答してみるところからトライする。続いて、他者の回答を発見的に見ること、それを言葉にしてみることを試す。ただ漠然と見ているだけでは、指南にならない。そこで、3つのステップ、3A(アフォーダンス・アナロジー・アブダクション)を使って回答を見る、コメントをするということを実践してみる。

 

■師範代たちの花伝所体験とは?
エディットツアーのラストに設けられた質疑応答の時間に師範代たちが花伝所の体験を語ってくれたので紹介しよう。

土田実季師範代(からたち道場)
かつて[破]の師範代が、「[守]は遠足、[破]は家出」と見立てていたけど、私にとって[花]はキャンプです。普段暮らしている安全な家から飛び出して、森を彷徨い夜の怖さを知るような体験。普段なら異質なものは避けて通りたくなるけど、花伝所では、不思議なもの、気になるもの、わからないものから連想を広げ、自分も広がっていくような体験ができた。

橘まゆみ師範代(やまぶき道場)
式目を通す中で、自分の中にある面白いものがお題によって引き出される感覚があった。自分の内にあるものを型が見つけてくれた。他者のことを知るにはまず自分が何を考えているかを知ることが大事だとわかった。最初は色んな学びが大量に入るのでパニックにもなったけど、今は自分の考えが取り出しやすくなった。

廣田雅子師範代(やまぶき道場)
入伝する前も期中も「書けない、できない、時間がない」と不安と迷いでいっぱいだった。でも、できそうもないこと、何が正解だかわからないという壁が立ちはだかっても、師範代だったらどうするんだろうと思うと立ち向かうことができた。道場で魅力的に変わっていく仲間の姿を見て、自分も変わろうと思えた。

山口奈那師範代(むらさき道場)
何がなんだからわからない状態で始まったけど、絶対にひとりぼっちにならない。仲間や師範がいつも居てくれて、声をかけてくれるから、絶対に最後までやり遂げるぞと思えた。自信や不安があっても関係ない、やるかやらないか。私は、「たくさんの私」に出会うきっかけにもなり、考え方がガラリと変わった。

 

つい数ヶ月前まで葛藤しながら演習していた入伝生たちが、すっかり師範代らしく堂々と言葉を放っている姿を見て指導陣もグッと込み上げるものがあった。むらさき道場の花伝師範だった嶋本は自身の入伝生だった山口の言葉に思わずホロッときた。エディットツアー終了後、参加者からもぞくぞくと感想の声が届いた。秘伝のタレを味見はできたが、本当にマジカルな体験、カワル体験は花伝所に入ってからだということを実感してくれたようだ。花伝所の場でまた会えることを楽しみにしたい。

 

●この日、カメラを担当した森本康裕師範がひな祭りの飾りと松岡正剛フィギュアを撮影してこの日を祝う。

 


41期・花伝所は、2024年4月20日(土)にガイダンス、2024年5月11日(土)の入伝式からスタートになる。
定員は30名。詳細・お申し込みは下記URLから。
https://es.isis.ne.jp/course/kaden


 

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【花伝所プレゼンツ・エディットツアー】3/3(日)師範代の編集術がわかる・コミュニケーションがかわる https://edist.ne.jp/just/hanatour_240303/ https://edist.ne.jp/just/hanatour_240303/#respond Sat, 10 Feb 2024 03:12:36 +0000 https://edist.ne.jp/?p=67439 ひらひらとおぼつかないからコミュニケーションは生まれる。

 

SNS、リモート時代に入り、コミュニケーションを取り巻く環境は大きく変わってきました。これまでつながることができなかった人たちと簡単につながることができたり、表現の場が広がったり、働き方が自在になったり、可能性はどんどん拡張したかに見えます。

 

にも関わらず、人間関係の希薄さ、窮屈さに疲弊する人、孤立する人、病む人が多くいるのはなぜだろう。いろいろ仮説することはできますが、ひとつには矛盾やズレを修正しようとし過ぎるあまり、一つの正解に向かってしまう。複雑なものを複雑なままに受け入れることができず、対立が生じやすくなっているのではないでしょうか。

 

編集学校には、「編集は対話から生まれる」という松岡正剛校長の言葉があります。対話を通して学びを深めていく相互編集の場が用意されています。その場の亭主となる師範代(編集コーチ)は、次々とお題を出題し、それに学び手である学衆が回答で応じていきます。そこに一つの正解はなく、師範代は多様な回答に指南で光を当てることで、学衆の可能性を開いていきます。

 

この場と対話の起点となる「師範代のコミュニケーション」に潜む方法の一部を特別に体験できるのが、3/3(日)雛祭りの日に開催されるエディットツアーです。花伝所はその名を世阿弥の『風姿花伝』に肖っており、継承されてきた型(モデル)を使った学びを重視します。コミュニケーションという行為も「エディティング・モデルの交換」と捉えます。

 

ツアー当日は、経験豊富な師範たちによる型の講義やリアル編集ワークを体験できます。「型がわかるとコミュニケーションがかわる」の実践です。

 

花伝所の本講座は[守][破]を修了した人向けですが、エディットツアーはどなたでも参加ができます。はじめて編集学校を知ったという方、コミュニケーションや師範代ロールに関心がある方、もっと編集工学を深めたいという方、まずはエディットツアーで「花伝所の型の学び」を体感してください。

 


「ISISの宝刀、師範代の編集術」オンライン開催

 

■日時:2024年3月3日(日)14:00-16:00
■費用:1,100円(税込)
■会場:オンライン(お申し込みの方にZoomアドレスをご案内します)
■人数:限定20名様(先着順)
■対象:どなたでもご参加いただけます
■ナビゲーター: 中村麻人、吉井優子、古谷奈々、嶋本昌子、林朝恵(イシス編集学校師範)
■内容:編集学校の花伝所で学べる方法をわかりやすくご説明します。独自の「編集稽古」をワークショップ形式で体験いただけます。
■お申し込みはこちらから:https://shop.eel.co.jp/products/detail/665


 

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39[花]キャンプでアートが吹き寄せた https://edist.ne.jp/post/39hana_fukiyosecamp/ https://edist.ne.jp/post/39hana_fukiyosecamp/#respond Thu, 20 Jul 2023 05:21:30 +0000 https://edist.ne.jp/?p=59770 花伝所では毎期、2日間に渡るキャンプがある。キャンプといっても野外で行われるわけではなく、全てインターネット上のラウンジで、テキストのみで行われる。仲間と共に「読む・書く」を繰り返しながら、深い森や洞窟へと分け入って宝探しをするような体験だ。

 

今期は松岡正剛校長からキャンプのお題にビジュアルを扱ったお題を実験的に取り入れてみて欲しいとの要望を受け、[破]のプランニングをベースに「とある美術館の特別展を企画する」というお題を導入することに決めた。梅澤光由師範や平野しのぶ師範、大濱朋子師範からもアイデアや参考情報をもらった。最初はアート作品を創作するようなお題にしようかとも考えたが、近年の編集学校の様子を見ていて、そもそもアートのプロトタイプがとらえきれていないこと。花伝所が方法日本とエディティング・モデルの交換をテキストベースで学んでいることを踏まえ、「日本民藝館」を美術館として設定し、創立者でもある柳宗悦の審美眼・フィルターを借りて、日本が誇る美術・工芸品をキュレーションした特別展のプランを入伝生に課すことにした。少人数のグループでたった20時間でプレゼン用のシナリオを仕上げるというのは、相当に背伸びを強いるお題になるが、3つを元に構想した。

 

①極端なこと、むずかしいことに取り組む
②自分が作り出そうではなく、モノを生かす
③直感・直観と型を重視する

 

これには、松岡校長に加えて、文芸評論家の小林秀雄と数学者の岡潔からヒントを得た。まず、①極端なこと、むずかしいことに挑むからこそ、学びは面白くなるということ。やさしいことばかりを繰り返していてはつまらない。芸であれば名人や達人を目指すからこそ技が磨かれていくのであって、程々の所に留まればやがて自分の芸に飽きてしまう。②自己中心的に考えた個性から離れ、モノの方にある個性の働きを生かすこと。心の欲しいままに取り組めば、千編一律なものばかりが並んでしまう。むしろモノや自然の方に多彩な個性があると見ること。西洋の個人主義が入るようになってからは日本もこれを忘れつつあるが、職人にはまだこれが残っている。自然を表現する時は、自然と闘うのではなく応和していく。形式美に則りながら形式美を超えていく。それを集団で切磋琢磨する。③型があるから自由な発想が生まれ、モノを集めたり、選んだり、特徴を評価することもできる。型がなければ、型破りも生まれない。編集学校では直感・直観も方法(編集感覚)として扱っているが、小林や岡も直観とか勘と呼ばれるものが知と結びついていると説いていた。世阿弥や芭蕉、名工と呼ばれる職人たちも型を徹底してきたからこそ、察知ができるし、勘所というものをとらえることができたはずだ。

 

これらのことは、入伝生であれば[守・破・花]の講座で既に段階的に学んできていることであり、方法に徹することができれば、必ず突破口は開けるだろうと見込んでいた。ただ、キャンプの醍醐味でもある、初めてチームを組む仲間と相互編集状態になれるかどうか、お題を前に言葉を失う者が続出してしまわないか、という一抹の不安はあった。が、これは杞憂に過ぎなかった。最初こそ「全くイメージわかない」「甘かった」という声も聞こえたが、終わってみれば、前期の倍以上の発言量でアウトプットもダントツに多彩だった。日本民藝館というトポスと柳の思想を深く掘り下げ、日本の眼無の美をとらえた企画を型を通して練り上げ、訪れる者を魅了するような体験や異質を取り込む編集へと向かっていた。今期はシナリオのみならず、自主的にビジュアル資料をデザインしたチームが初めて出たことも特筆すべき点で、正に「吹き寄せ」のごとくであった。

 

ちなみにキャンプのセンターラウンジの名前は「吹き寄せ堂」で松岡校長の著書『見立て日本』から拝借した。和菓子の四季折々の彩りも借りながら、胸突き八丁の入伝生が編集の遊び場へとふわりと出入りすることを目論んだ。実際は突風が吹いて、吹き飛ばされる者もいたが、再び風に吹かれて場へと舞い戻ってきた。この寄せ集め、まぜこぜが宝であり、別様の可能性へとつながっていく。

 

39[花]の入伝生は、全ての演習を振り返る、自己評価レポートを書き終え、虎視眈々と月末に行われる敢談儀(修了式)の用意を進めている。

 

アイキャッチ 『見立て日本』より

 

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インスタのストーリーも律走中!【第81回感門之盟】 https://edist.ne.jp/just/kanmon81_instagram/ https://edist.ne.jp/just/kanmon81_instagram/#respond Sat, 18 Mar 2023 06:21:03 +0000 https://edist.isis.ne.jp/?p=54844 はじまりました!第81回感門之盟の初日が幕を切りました。松岡正剛校長の「僕にとってはココがWBC」にはしびれました。試合はプレイも観戦も燃えたぎりたい。

さて、みなさま、イシスのインスタが数日前から感門之盟のリハーサル模様をストーリーでお届けしていたことをご存知でしょうか?本番直前の様子も先取りしてインスタから写真をお届けしてます。

 

角山ジャイアン師範の前説の告知をインスタから配信しました。

 

編集は多様に多彩に。感門参加中の方も参加できずにもどかしい思いをされている方も感門の雰囲気をインスタから味わってみませんか。ストーリーには時間制限があります。ライブで見てこそ。みなさんのフォローをお待ちしております。

 

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